SC 6 専門委員会(通信とシステム間の情報交換)

第1 種専門委員会

SC 6 専門委員会(通信とシステム間の情報交換/ Telecommunications and Information Exchange Between Systems)

<2022年度委員会活動報告>

 委員長 照山 勝幸(ソニー株式会社)

1. スコープ

 オープンシステム間の情報交換に関する通信分野の標準化を担当している.例えば,物理層,データリンク層,ネットワーク層,トランスポート層,セッション層,プレゼンテーション層及びアプリケーション層のプロトコルやサービス,ディレクトリやASN.1のほか,MFAN,NFC,PLC,Future Networks,OID等がある.
加えて,ISO,IEC,ITU規格との調和及びIEEE,IETF等との実効的な共同作業を行っている.

2. 参加国

a) 議長:Hyun Kook KAHNG氏(韓国)

b) 幹事国:韓国

c) コンビーナ:
・ WG 1(物理及びデータリンク層) 中国
・ WG 7(ネットワーク,トランスポート及びフューチャネットワーク) 韓国
・ WG 10(ディレクトリ,ASN.1及び登録) フランス
 
d) Pメンバは19カ国,Oメンバは36カ国.主な参加国は,韓国,中国,アメリカ,オーストリア,イギリス及び日本である.
 
e) 日本は,次の規格のプロジェクトエディタを務めている.
・ ISO/IEC 18092 – Near Field Communication Interface and Protocol 1 (NFCIP-1)
・ ISO/IEC 21481 – Near Field Communication Interface and Protocol 2 (NFCIP-2)
・ ISO/IEC 23917 – Near Field Communication Interface and Protocol 1 (NFCIP-1) - Protocol test methods
・ ISO/IEC 17982 – Close Capacitive Coupling Communication Physical Layer (CCCC PHY)
・ ISO/IEC TR 22512 – Guidelines for the implementation of ISO/IEC 17982:2012

3. トピックス

a) Virtual総会及びWG会議:2022年06月24日~07月01日開催.アメリカ,イギリス,オーストリア,カナダ,スイス,ドイツ,フランス,韓国,中国及び日本が出席.

b) ウィーン総会及びWG会議:2023年3月20日~24日開催.アメリカ,オーストリア,オランダ,カナダ,スイス,スウェーデン,デンマーク及び日本が対面で出席.イギリス,フィンランド,フランス,ベルギー,韓国及び中国はリモートで出席.

c) WG 1中間Virtual会議:2022年11月開催.韓国,中国及び日本が出席.

d) AG 1(Wearable devices)におけるWearable communication system検討のためIEC TC 124(Wearable electronic devices and technologies)からの要望によりJoint Ad-hoc Groupが設置された.

e) AG 2(Concepts and terminology)において,SC 6の規格群が使用する用語を一覧としてまとめたStanding Document作成を継続している.

f) AG 3(Systematic Review process)では,SC 6における多数の30年以上前の規格(Outdated規格)に対するSR投票において,近年ほとんどの国が専門知識の不足を理由に棄権を投票し,数カ国のNBだけが投票を行っている,という分析を行った.この分析結果から,SC 6議長は,SRにおいて廃止と判断した規格については上位組織のJTC 1において規格廃止に対する最終投票を行う,という固有の手続きをJTC 1へ提案している.この提案に対する支持がSC 6として承認された.

g) 2022年07月のSC 6総会にて,香港と中国の専門家の提案により,IEEE 802.11や3GPP等で採用されている変調方式OFDM(直交周波数分割多重方式)の基本的なパラメータであるMCS(変調及び符号化スキーム)の問題点を解決し,統一的な改善を検討することを目的として,AG 4(MCS Innovation)の設置が承認された(コンビーナは中国).このAG 4は,ISO/IEEE PSDO協定のFast-track手続きの審査を厳格化する動きと捉えることができる.2023年03月のSC 6総会では,AG 4のToR修正案とギャップ分析に関する作業が承認された.ただし,カナダは反対を表明し,日本は,AG 4の活動についてMCS deficiencies等の用語定義が不十分であること,中国以外のエキスパートが興味を示していないことから,活動への積極的な関わりを避けたいため,棄権を表明した.
1) ToR修正案として,成果物としてギャップ分析報告,技術要件及び標準の推奨に加え,技術提案の報告が追加された.
2) MCS(変調及び符号化スキーム)のギャップ分析のための調査開始.調査は計画書に従ってAG 4 Convenorが実施する予定.
3) JTC 1/AG 19及びISO TC 20/SC 16と協調して,UAS(Unmanned aircraft systems)のMCSギャップ分析報告書を準備する予定.

h) AHG 2(Trustworthiness)は作業が完了したため解散.

i) ISO/IEEE PSDO(Partnership standardization disclosure organization)協定の手続きに基づくIEEE規格のIS化において,2021年に投票が行われた規格案(IEEE 802.11ax-2021及びIEEE 802.11ay-2021)に対する特許使用許諾の拒絶(Negative LoA(Letter of assurance))の表明があるためISO規格に登録すべきではないとSC 6からISO中央事務局に対して見解が提示されたため,ISO中央事務局とIEEE-SAが協議を開始.2023年1月時点でも協議が継続していることから,WG 1コンビーナ(中国)から早期解決を求める提案がなされ,この提案についてHoD/C会議及びSC 6総会で審議を行った結果,ISO中央事務局に対して,現在の状況報告及び改訂中のPSDO協定に対する次の要望の検討を依頼することが承認された.
1) IEEE規格案がISO fast-trackへ提出された場合,投票開始前に,その規格案に対してNegative LoAが含まれているかどうかをIEEEはISOに通知するのが望ましい.
2) Negative LoAを含むIEEE規格案をISO fast-trackへ提出するのは望ましくない.

j) ISO/IEC 18092(NFCIP-1)のNFC(Near Field Communication)業界標準との調和を目的とした改訂プロジェクト,CDステージ及びDISステージにてコメント解決がなされ,FDISステージへ進行予定.

k) ISO/IEC 23917(NFCIP-1 Protocol test methods)の上記ISO/IEC 18092の変更に伴う改訂プロジェクト,CDステージ及びDISステージにてコメント解決がなされ,FDISステージへ進行予定.

l) ISO/IEC 19369(NFCIP-2 Test methods)の改訂プロジェクト,CDステージにてコメント解決がなされ,DISステージへ進行.

m) ISO/IEC 4005-1/4(Unmanned aircraft area network),DISステージ及びFDISステージにてコメント解決がなされ,ISが発行された.この通信規格を利用する対象がISO/TC 20/SC 16(Unmanned aircraft systems)に関連することから,DISにおけるコメント解決会議ではLADAN(Low attitude drone area network) からUAAN(Unmanned aircraft area network)へのタイトル変更を結論としていたが,その後の総会において「Unmanned」という単語にジェンダーの問題があるとしてタイトル変更に反対する意見があり,長時間の議論の末タイトル変更についてのCIBを行うこととなり,CIBの結果,タイトル変更が承認された.

n) 次の新規リエゾン設置要求が承認された.
1) ISO/IEC JTC 1/SC 43(Brain-computer interfaces)に対するSC 6からのリエゾン設置要求(AG 1コンビーナ提案)
2) WFEO(World Federation of Engineering Organizations)からSC 6へのカテゴリーAリエゾン設置要求

o) 次のPWIの期間延長が承認された.いずれも過去のNP投票でエキスパート数が不足のため承認されなかった.日本はこれらのNP投票に対して,他の規格との関連が不明確であり,国際規格としての技術検討が不十分であるとして反対を投票済みである.
1) PWI 13925 (Smart Grid向けフィールドエリアネットワークにおける認可狭帯域通信のPHY仕様 (韓国提案))
2) PWI 13974 (RF指向性信号伝送の制御プロトコル (韓国提案))
3) PWI 11912 (決定論的無線産業ネットワーク (韓国提案))
4) PWI 18987 (導電性ファブリックエリアネットワーク (韓国提案))
 
p) APGAN (Automotive Proving Ground Area Network)のPWI開始が承認された.自動運転車の試験場におけるネットワークの無線通信仕様を規定するプロジェクト(中国提案).複数のパートで構成することが提案されている.
1) PART 1: APGAN Overview(APGAN概要)
2) PART 2: Proving Ground Network Infrastructure(PGネットワークインフラストラクチャー)
3) PART 3: Control Center Communication(コントロールセンター通信)
4) PART 4: V2CC communications(V2CC通信)
5) PART 5: V2R Communications(V2R通信)
6) PART 6: R2CC communications(R2CC通信)
7) PART 7: Network and Data Security(ネットワークおよびデータセキュリティ)
 
q) 規格投票件数及び制定数
1) 2022年度の投票件数
    NP: 5件,CD: 2件,DIS: 22件,FDIS: 15件,SR: 41件,CIB: 9件
2) 2022年度のIS発行数
   IS発行 新規: 7件,改訂: 3件,追補: 6件

4. 日本対応/方針

国際ISO/IEC JTC 1/SC 6委員会投票案件について,SC 6専門委員会内にて技術的記載内容を確認,審議を行い総合的に判断して,賛成,反対,棄権投票及びコメント送付を実施している.NP及びDIS案件,国際ISO/IEC JTC 1委員会投票案件については,コメント案を含めて,賛成,反対,棄権どの態度をとるべきかを技術委員会へ付議している.
NFCの規格開発に関しては,非接触近接通信オブジェクト等の規格を開発しているSC 17国内委員会と連携しながら,日本主導で進めている.

5. その他

SC 6専門委員会では,電子メール及びWeb会議ツール,ファイル共有システムなどを駆使して案件審議の効率化を図り国際案件審議に必要な意見交換を実施している.