JIS X 23078-2原案作成委員会

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第3 種専門委員会

JIS X 23078-2原案作成委員会

<2025年度委員会活動報告>

委員長  村田真(東日本国際大学)

1. 経緯

1.1 委員会設立の目的
国際規格であるISO/IEC 23078-2:2024 の翻訳JIS の原案を作成すること。


1.2 JIS 原案の改正に至る経緯及び規格内容
このJIS 原案が規定するLCP の歴史は、2012 年にまで遡ることができる。2012 年にInternational Digital Publishing Forum が公開した要件文書を出発点とし、その後、Readium Foundation における実装活動の中で具体化された。さらに、欧州の非営利団体であるEDRLab が中心となって仕様の整理と普及を進め、実運用を通じて相互運用可能な軽量DRM としての完成度を高めていった。この流れを受けて国際標準化が推進され、まず技術仕様として ISO/IEC TS 23078-2:2020 が策定され、実装との整合性を保ちながら仕様の安定化が図られた。
その後、仕様の成熟と実装の広がりを踏まえ、技術仕様(TS)から国際規格への昇格が行われ、ISO/IEC 23078-2:2024 として国際規格化された。これにより、LCP は業界仕様の枠を超えて公共調達や制度設計にも適用可能な基盤技術となった。
本規格は、この成熟した国際規格ISO/IEC 23078-2:2024 をJIS 化したものである。JIS X 23078-2 原案作成委員会は、2025 年7 月から2026 年2 月までの期間に合計5 回開催された。


1.3 JIS 原案の内容
このJIS 原案は、デジタル出版物(特にEPUB)のリソースを暗号化し、復号鍵を閲覧システムに安全に配信するための技術的手段について標準化を行い、生産及び使用の合理化、品質の向上を図るために制定するものである。

2. 作業内容

2.1 作業の進め方:
最初に、用語を原規格から抽出した。その用語をどう訳すかを議論によって確定させた。
その後は、すでに提供されていた下訳を、委員が分担して修正した。相互チェックと日本規格協会による調整を経て原案を作成した。


2.2 作業中問題となった点
2.2.1 事前合意

LCP で出版物を保護する側(コンテンツ提供事業者側)と、LCP で保護された出版物を復号する側(閲覧システム側)との間の相互運用性は、双方が同一の暗号化プロファイルを使用することについて、事前に合意していることが必要である。この事前合意がある場合には相互運用性が成立し、ない場合には成立しない。事前合意を必要とすることに問題があるかどうかについての議論があり、次の理由によって問題ないと結論付けた。

(1) 事前合意を必要とする規格は、他にも存在している。例えば、ISO/IEC 2022 において文字集合を暗黙的に指定する運用(アナウンス機能に頼らず、特定の符号化文字集合を前提とする運用)は、事前合意が必要である。
(2) さらに、暗号技術一般において、こうした事前合意はセキュリティを成立させるために必要になることが多い(ただし、事前合意が安全性の根拠となるものではない。システムの安全性は、公開された暗号アルゴリズムの堅牢性、及び暗号鍵の秘匿性が維持されることによって担保される。)。


2.2.2 JSON オブジェクト中のキーワード
JSON オブジェクトの中でキーワードとして現れる英単語が本文中に現れることがある。単なる英単語とみなして翻訳するか、キーワードとみなして翻訳しないか、翻訳しつつ原文を括弧書きで補うかの三つの選択肢がある。審議の結果、ケースバイケースで相応しい選択肢を選ぶことにした。

3. その他

最終段階で問題になったのは、名前としてのURI である。参考附属書で、原規格にはないCamellia暗号プロファイルを導入したが、その名前としてURI が必要である。この名前には、登録による一意性の保証が不可欠であり、それがなければ仕様として成立しない(http://www.example.com やUUID は不可)。

最初の案はHTTP スキームのURL であった。いつ消えるか分からない私企業のURL をJIS に入れるわけには行かないので、公的な団体のURL を原案作成委員会として要請した。しかし、日本規格協会からも情報処理学会規格調査会からも、URL は提供されなかった。なお、暗号化、電子署名、XML 名前空間でも、同様の名前が必要になることは多く、海外の組織はHTTP スキームのURL を提供している。

次善の案として考えられたのがオブジェクト識別子に基づくURN である。オブジェクト識別子は登録による一意性が保証されているので、この案なら仕様として成立させることができる。

しかし、国内の手続きによってオブジェクト識別子を登録することはできなかった。国内には、総務省とJIPDEC という二つの登録先がある。総務省による登録はITU 関係の仕様に関するものであり、今回はJIS なので対象外ということであった。一方、JIPDEC による登録は有料であり、その費用はどこも負担できないということであった。

結局、国内の手続きではなく、IANA による登録制度を使って、Camellia 暗号プロファイルのためのオブジェクト識別子を取る方向で現在は進んでいる。
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