システム及びソフトウェア技術-システム オブ システムズの分類方法JIS原案作成委員会

第3 種専門委員会

システム及びソフトウェア技術-システム オブ システムズの分類方法JIS原案作成委員会

<2021年度委員会活動報告>

 委員長 山田 淳(ISO/IEC JTC1/SC7/WG7国内委員会 幹事,東芝)

1. 経緯

 様々な分野で構築・応用が急速に拡大しつつあるSoS(System of Systemsシステム オブ システムズ)は,従来のシステムとは異なった面で,多様な特性をもっている。このような多様なSoSの特性に適応して,SoS及びそのSoSを構成する各システムの開発・運用・保守を円滑化するため,SoSの特性及びその相違点の理解を促進することの重要度が国内外で増している。JIS原案作成委員会の母体となった掲記SC7/WG7小委員会では,これまでにSoSについては,システムライフサイクルプロセスの規格であるJIS X 0170:2020(対応国際規格は,ISO/IEC/IEEE 15288:2015),及びソフトウェアライフサイクルプロセスの規格であるJIS X 0160:2021(対応国際規格は,ISO/IEC/IEEE 12207:2017)の中でも,SoSが対象システムの多様性について参考情報として取り上げていたが,今回ISO/IEC/IEEE 21841 Systems and software engineering-Taxonomy of systems of systems:2019を対応国際規格として,SoS分類法を提供する原案作成委員会を設立してJIS X 21841を策定するに至った。
 このSoS分類法は,指揮管理されたSoS(Directed SoS), 認められたSoS(Acknowledged SoS),協調的なSoS(Collaborative SoS),仮想的なSoS(Virtual SoS)の四つの分類群に区分するもので,この順にSoSとSoSを構成するシステムにおける一元的なSoSの目的合意や管理に対する自由度が増し,個々のシステムの管理・開発・運用の独立性が高くなるなどの特性の相違点が分かるように分類したものとなっている。

2. 作業内容
2.1作業の進め方

対応国際規格のISO/IEC/IEEE 21841はもとより,JIS X 0170:2020,JIS X 0160:2021の参考情報の表記を参考としつつ,さらに理解を助ける改良を加えた。5回の原案作成委員会を通じてレビューと主要な改良を反復して行い,原案を策定した。

2.2 作業中問題となった点

 原案作成委員会では,次のような用語表記に関する点を主要な問題として注意深く検討した。
1) 用語としてシステムとシステムズのように単数以外に複数の区別を併用した。これはSystems engineeringは一つの技術用語として,“システムズエンジニアリング”へと複数形で表記にすることとしたためである。これによりシステムズ オブ システムズ エンジニアリング(systems of systems engineering)も最初のシステムズを複数形で表記している。これは,JIS X 0170:2020及びJIS X 0160:2021に至るまでの従来の表記の“システムエンジニアリング”から変更となる。一方,system(s)は従来どおり単数複数の区別はせずに,“システム”とだけ表記している。従って,System(s) of systemsは単複両方が対応国際規格で使われているが,表記は,“システム オブ システムズ”に統一した。
2) SoS organization “SoSをもっている組織”と表記して,SoSを構築,運用又は所有する利害関係者の組織を表現している。
3) JIS X 0170:2020及びJIS X 0160:2021の附属書のSoSに関する参考情報記述からの表記改良点として,“central management”,“central purposes”,“centrally-agreed-upon purpose”などで使われている,“central”,“centrally”は,“中央”と表現していたが,“一元的”という表記に変更した。

3. その他

 ISO/IEC/IEEE 15026アシュアランス規格群も順次発行されつつあるので, 2022年度はJIS X 0134-4(対応国際規格ISO/IEC/IEEE 15026-4)の原案作成作業を準備している。またJIS X 0170:2020の対応国際規格のISO/IEC/IEEE 15288:2015が限定的な改定作業が進行中のため,今後のJIS改正作業の時期も検討予定である。