JIS X 0153改正原案作成委員会

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第3 種専門委員会

JIS X 0153改正原案作成委員会

<2023年度委員会活動報告>

委員長  山本 喜一

1. 経緯
1.1 委員会設立の目的

 現行のJIS X 0153:2015 “システム及びソフトウェア技術 — 利用者用文書類の設計者及び作成者のための要求事項”の改正原案を作成すること。

1.2 JIS 改正に至る経緯

現行JIS の対応国際規格であるISO/IEC 26514:2008(以下,旧対応国際規格という。)について2018 年のSR の時点で改訂が提案され,JTC 1/SC 7/WG 2 において改訂作業が行われ,ISO/IEC/IEEE 26514:2022(以下,新対応国際規格という。)が発行された。最大の変更点は,読者にとって印刷された媒体という認識が強い用語である利用者用文書(user documentation)を,ディジタル化された広い範囲の媒体での提供を意図している利用者用情報(information for users)にするものでISO/IEC/IEEE 265xx シリーズ全体での変更を反映するものであった。さらに,IEC/IEEE82079-1:2019 を引用規格として,旧版で多くの割合を占めていた文書化プロセスの定義及びその詳細の記載を大幅に削除し,これらを規定しているIEC/IEEE 82079-1 の箇条の引用に変更した。また,ISO/IEC 専門業務指針の改訂に伴い旧対応国際規格とは箇条の順番が変更されていること,新技術に対応するための箇条の追加など多くの変更が加えられた。

旧対応国際規格の改訂については,ISO/IEC JTC 1/SC 7/WG 2 国内小委員会が原案作成段階から積極的に参加していたことから,この小委員会メンバーを中心にJIS 改正原案作成委員会を構成した。

1.3 規格内容

この規格は,利用者が必要とする利用者用情報を確立する方法,その情報を利用者にどのように提示することが望ましいかを決定する方法,並びに情報の準備及び情報を利用可能にする方法を規定している。

2. 作業内容
2.1 作業の進め方

旧対応国際規格と新対応国際規格との差分をとり,利用可能な現行JIS の文言を活かして対訳原案を委員長が作成し,それに基づいて各委員がメーリングリストを用いてコメントを提出する方式を用いた。また,2023 年7 月,9 月及び2024 年2月にZoom による会議を行い,メールでは議論できなかった点について議論を行い合意を得た。

2.2 作業中問題となった点

a) 従来のJIS では,英語の片仮名表記において音引きを省略するなどの表記法が使われていたが,片仮名表記からできるだけ元の英語が推測できることが望ましいとの意見があり,審議の結果,この規格では,片仮名表記は英語の発音に近い表記とし,長い片仮名表記は半角空白で区切ることにした。

b) 新対応国際規格中に“can”の意味で“may”を用いている箇所が5 箇所あり,それぞれについてプロジェクト エディター及びコンビーナーに確認をとり,“can”の意味の訳文とした。

c) この規格は,対応国際規格のIDT として作成したことから,記載内容についての議論はなかったが,翻訳に関して,審議の結果,次のとおりとした。
- 旧規格での次の訳語は,更に適切な訳語へと変更した。
・ topic の訳語“トピック項”を,“トピック”とした。
・ convention の訳語“慣例”を,“取決め”とした。
 
- 類似した意味の単語の“guide”,“guidance”及び“guideline”を,制約する強さを表現するために“ガイド”,“手引”及び“指針”と訳し分けた。
 
- 新技術に伴う用語の“instant messaging”,“instant messenger”及び“instant message”は,対応する訳語が決まっていない上に,片仮名表記を区別してもかえって分かりにくくなることから,全てを“インスタント メッセージ”とした。 
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