JIS X 0134-2 及びX 0162 改正原案作成委員会
第3 種専門委員会
JIS X 0134-2 及びX 0162 改正原案作成委員会
<2023年度委員会活動報告>
委員長 木下 修司(東京都立産業技術大学院大学)
1. 経緯
本委員会は,ISO/IEC/IEEE 15026-2:2022 の改正JIS 原案(JIS X 0134-2)およびISO/IEC/IEEE16085:2021 の改正JIS 原案(JIS X 0162)作成を目的として設立された。
ISO/IEC/IEEE 15026 は,当初は,現在のISO/IEC/IEEE 15026 規格群の第3 部で定める,リスク抑制のための“インテグリティレベル”を定めた規格であった。この規格を,より広い概念である“アシュアランス”を軸に規格群として再編成する機運が2000 年代半ばにISO/IEC JTC 1/SC 7 において高まり,2006年5 月のプレナリ会議において改訂が決議され,その第2 部としてISO/IEC 15026-2 が2011 年に発行された。2016 年に開始された改訂作業においては,2011 年以後に発行された各種のコミュニティ規格との整合性維持が図られたほか,アシュアランスケース構造の数理的によって厳密な定式化が図られた。
加えて,ISO/IEC 16085:2006 は,リスクマネジメントの一般的な指針を与えるISO/IEC/IEEE 31000:2018(対応JIS は,JIS Q 31000:2019),及び,プロジェクトマネジメント計画を規定するISO/IEC/IEEE16326:2019 との関連規格との整合性を維持するため,ISO/IEC/IEEE 16085:2021 として改訂された。
2021 年のISO/IEC/IEEE 16085:2021 改訂版および2022 年のISO/IEC/IEEE 15026-2 改訂版の発行後,ISO/IEC JTC 1/SC 7 国内委員会(事務局 一般社団法人情報処理学会 情報規格調査会)のWG 7(ライフサイクル管理)国内小委員会において,JIS 素案作成委員会設立の検討が始まった。
ISO/IEC/IEEE 15026 は,当初は,現在のISO/IEC/IEEE 15026 規格群の第3 部で定める,リスク抑制のための“インテグリティレベル”を定めた規格であった。この規格を,より広い概念である“アシュアランス”を軸に規格群として再編成する機運が2000 年代半ばにISO/IEC JTC 1/SC 7 において高まり,2006年5 月のプレナリ会議において改訂が決議され,その第2 部としてISO/IEC 15026-2 が2011 年に発行された。2016 年に開始された改訂作業においては,2011 年以後に発行された各種のコミュニティ規格との整合性維持が図られたほか,アシュアランスケース構造の数理的によって厳密な定式化が図られた。
加えて,ISO/IEC 16085:2006 は,リスクマネジメントの一般的な指針を与えるISO/IEC/IEEE 31000:2018(対応JIS は,JIS Q 31000:2019),及び,プロジェクトマネジメント計画を規定するISO/IEC/IEEE16326:2019 との関連規格との整合性を維持するため,ISO/IEC/IEEE 16085:2021 として改訂された。
2021 年のISO/IEC/IEEE 16085:2021 改訂版および2022 年のISO/IEC/IEEE 15026-2 改訂版の発行後,ISO/IEC JTC 1/SC 7 国内委員会(事務局 一般社団法人情報処理学会 情報規格調査会)のWG 7(ライフサイクル管理)国内小委員会において,JIS 素案作成委員会設立の検討が始まった。
2. 作業内容
2.1 作業の進め方
委員ごとに分担を決め,下訳を作成したうえで,別の委員によるレビューを実施した。その後,全体レビューとして,分担箇所どうしの整合性を見直した。作業中の審議事項については,委員長及び幹事が解説にまとめた。
2.2 作業中問題となった点
今回のこの規格の改正審議において問題となった主な事項及び審議結果は,次のとおりである。
JIS X 0134-2: “context type”は,“コンテキスト型”とした。これはアシュアランスケースの構造を定める種類(型)のひとつであり,例えば他の型である“evidence type”は“証拠型”と訳している。しかし,日本語としての“文脈”ではない特別な用語であることを明確にするため,片仮名のままとした。
JIS X 0162: “risk management”は,“リスクマネジメント”とした。これは,旧規格,JIS X0160:2021 及びJIS X 0170:2020 では,“risk management”は,“リスク管理”と訳されている一方,JIS Q 31000:2019 では,“リスクマネジメント”と訳されており,どちらに従うべきか議論があった。JIS X 0160:2021 及びJIS X 0170:2020 はライフサイクルプロセスの名称も規定するものであり,基本的にはプロセスの名称はこれに基づかなければならないが,近年では,“管理”と“マネジメント”は使い分けられていたり,“リスクマネジメント”も一般に使用されることが多く見受けられたりすることなどの理由から,この訳を採用した。この規格とJIS X 0160:2021 及びJIS X 0170:2020 との不整合については,今後JIS X 0160 及びJIS X 0170 の改訂時に解消されていくことを期待する。
JIS X 0134-2: “context type”は,“コンテキスト型”とした。これはアシュアランスケースの構造を定める種類(型)のひとつであり,例えば他の型である“evidence type”は“証拠型”と訳している。しかし,日本語としての“文脈”ではない特別な用語であることを明確にするため,片仮名のままとした。
JIS X 0162: “risk management”は,“リスクマネジメント”とした。これは,旧規格,JIS X0160:2021 及びJIS X 0170:2020 では,“risk management”は,“リスク管理”と訳されている一方,JIS Q 31000:2019 では,“リスクマネジメント”と訳されており,どちらに従うべきか議論があった。JIS X 0160:2021 及びJIS X 0170:2020 はライフサイクルプロセスの名称も規定するものであり,基本的にはプロセスの名称はこれに基づかなければならないが,近年では,“管理”と“マネジメント”は使い分けられていたり,“リスクマネジメント”も一般に使用されることが多く見受けられたりすることなどの理由から,この訳を採用した。この規格とJIS X 0160:2021 及びJIS X 0170:2020 との不整合については,今後JIS X 0160 及びJIS X 0170 の改訂時に解消されていくことを期待する。