SC 6 専門委員会 (通信とシステム間の情報交換)
第1 種専門委員会
SC 6 専門委員会 (通信とシステム間の情報交換/Telecommunications and Information Exchange Between Systems)
<2024年度委員会活動報告>
委員長 照山 勝幸(ソニー株式会社)
1. スコープ
オープンシステム間の情報交換(OSI; Open Systems Interconnection)に関する通信分野の標準化を担当している.例えば,物理層,データリンク層,ネットワーク層,トランスポート層,セッション層,プレゼンテーション層及びアプリケーション層のプロトコルやサービス,ディレクトリやASN.1(Abstract Syntax Notation One)のほか,MFAN(Magnetic Field Area Network),NFC(Near Field Communication),PLC(Power Line Communication),Future Networks,OID(Object Identifier)等がある.
加えて,ISO,IEC,ITU規格との調和及びIEEE,IETF等との実効的な共同作業を行っている.
加えて,ISO,IEC,ITU規格との調和及びIEEE,IETF等との実効的な共同作業を行っている.
2. 参加国
a) 議長:Hyun Kook KAHNG氏(韓国),次期議長: Shin Gak KANG氏(韓国)
b) 幹事国:韓国
c) WG,AG及びコンビーナ:
b) 幹事国:韓国
c) WG,AG及びコンビーナ:
- WG 1(Physical and data link layers) 中国
- WG 7(Network, transport and future network) 韓国
- WG 10(Directory, ASN.1 and Registration) ITU-T
- AG 1(Wearable devices) 韓国
- AG 2(Concepts and terminology) 中国
- AG 4(MCS innovation) 中国
- AG 5(Operations) 韓国
- AHG 3(Promotions) 中国:新規設置
- AHG 4(Best practices) 韓国:新規設置
d) Pメンバは18カ国,Oメンバは37カ国.主な参加国は,韓国,中国,アメリカ,オーストリア,イギリス,カナダ,スイス,スウェーデン,デンマーク及び日本である.
e) 日本は,次の規格のプロジェクトエディタを務めている.
- ISO/IEC 18092 Near Field Communication Interface and Protocol 1 (NFCIP-1)
- ISO/IEC 21481 Near Field Communication Interface and Protocol 2 (NFCIP-2)
- ISO/IEC 22536 Near Field Communication Interface and Protocol 1 (NFCIP-1) – RF interface test methods
- ISO/IEC 23917 Near Field Communication Interface and Protocol 1 (NFCIP-1) - Protocol test methods
- ISO/IEC 17982 Close Capacitive Coupling Communication Physical Layer (CCCC PHY)
- ISO/IEC TR 22512 Guidelines for the implementation of ISO/IEC 17982:2012
- ISO/TC 204(Intelligent transport systems) SC 6/WG 1とのリエゾン
3.トピックス
a) ストックホルム総会及びWG会議:2024年10月06日~10日開催.参加者33名.韓国,中国,スウェーデン,デンマーク,オーストリア,スイス,カナダ及び日本が対面で出席.オランダ,イギリス,アメリカがリモートで出席.
b) AG 1(Wearable devices)において検討されていた,韓国提案のE-textiles上の通信仕様(ISO/IEC 11913 Wearable Suit Area Network)がNP投票で承認され,コメントへの対応が議論された.今後,WG 1及びWG 7で規格開発を進めるが,IEC/TC 124でのNP投票が承認された場合,IEC/TC 124とのJWGで規格開発を進めることとなる.
c) AG 2(Concepts and terminology)では,SC 6の規格群が使用する用語を一覧としてまとめたStanding Document作成を継続している.
d) AG 4(MCS Innovation)は,2022年07月のSC 6総会にて設置が承認され,香港と中国の専門家の提案により,IEEE 802.11や3GPP等で採用されている変調方式OFDM(直交周波数分割多重方式)の基本的なパラメータであるMCS(変調及び符号化スキーム)の問題点を解決し,統一的な改善を検討することを目的と活動を継続している.MCSの改善が様々な無線通信に適用できるとして,UASの関連組織JTC 1/AG 19(Coordination with ISO TC 20/SC 16 on Unmanned Aircraft Systems),ISO/TC 20/SC 16(Unmanned Aircraft Systems)や量子情報技術関連組織JTC 3(Quantum technology)への働きかけのほか,通信路符号化やスペクトル効率に関するスタディが行われている.
e) AG 5(Operations)は,2022年11月のJTC 1総会で設置されたJTC 1/AG 21(JTC1 strategic direction)において,新技術に取り組むためのJTC 1の強化とSC 6を含む組織変更可能性の議論を鑑みて発せられたSC 6議長によるコメントと中国の提案に基づき,SC 6での関連する運営上の課題について検討するべく2023年12月の総会で設置が承認された.2024年10月のSC 6総会にて,AG 5からAHG 3(Promotions)及びAHG 4(Best practices)の設置が提案され承認された.AHG 3は技術紹介などのワークショップの企画及び開催によるSC 6への参加促進,AHG 4はPWIプロジェクトの調査レポート作成ガイドの作成をそれぞれのミッションとしている.
f) ISO/IEEE PSDO(Partner standards development organization)協定の手続きに基づくIEEE規格のIS化において,特許使用許諾の拒絶(Negative LoA(Letter of assurance))の表明がある規格のIS化への反対がSC 6からISO中央事務局に表明された後,ISO中央事務局とIEEEとの間で解決に向けた議論を継続している.2023年03月のSC 6総会ではその議論に関する状況報告及びPSDO協定の改訂検討の依頼が承認された結果,2023年12月及び2024年10月のSC 6総会ではISO中央事務局から状況報告がなされたが,IS化及びPSDO協定の改訂について進展は見られなかった.
g) 新規リエゾン設置
1) ISO/IEC JTC 3(Quantum technology)
2) ISO/IEC JTC 1/SC 42(Artificial Intelligence)
3) IEC/SyC COMM(Communication Technologies and Architecture)
h) WG 1におけるNFC関連プロジェクト
1) ISO/IEC 18092 NFCIP-1
NFC(Near Field Communication)業界標準との調和を目的とした改訂プロジェクト(日本提案),2023年12月に発行済み.
2) ISO/IEC 23917 NFCIP-1 Protocol test methods
上記ISO/IEC 18092の変更に伴う改訂プロジェクト(日本提案),2023年12月に発行済み.
3) ISO/IEC 19369 NFCIP-2 Test methods
ベース規格であるISO/IEC 21481(NFCIP-2)の変更に伴う改訂プロジェクト,FDISステージを経て2024年09月に発行済み.
4) ISO/IEC 22536 NFCIP-1 RF interface test methods
ベース規格ISO/IEC 18092(NFCIP-1)の変更に伴う改訂プロジェクト(日本提案),2024年10月総会でCDステージへの進行が承認され,2025年03月のCRMでコメント解決がなされた.
i) WG 1におけるその他のプロジェクト
1) ISO/IEC 11913 Wearable Suit Area Network
センサーやアクチュエーターを接続したE-textiles上の通信ネットワーク仕様(韓国提案)
Part 1: PHY/MAC層及びPart 2: アプリケーション層プロトコルに分冊化され,それぞれWG 1及びWG 7で規格開発が行われている.2024年10月総会においてIEC/TC 124でのNP投票向けにForm 4及び初期ドラフトが送付された.IEC/TC 124において,この提案のNPが承認された場合,両委員会によるJWGを設置して規格開発を進める予定.IEC/TC 124国内委員会との連携を継続している.
2) PWI 13925 PHY specification based on licensed narrowband in field area network for Smart Grid
Smart Grid向けフィールドエリアネットワークにおける認可狭帯域通信のPHY仕様(韓国提案)
NP投票が実施されたがエキスパート不足のため否決.
3) PWI 13974 Control Protocol for RF Directional Signal Transmission(RFDST)
RF指向性信号送信の制御プロトコル(韓国提案)
他国からのサポートがなくプロジェクト終了.
4) PWI 11912 Deterministic wireless industrial network(DWIN)
決定論的無線産業ネットワーク(韓国提案)
他国からのサポートがなくプロジェクト終了.
5) PWI 18987 Conductive fabric area network(CFAN)
導電性ファブリックエリアネットワーク(韓国提案)
ISO/IEC 11913に統合された.
6) PWI 21284 Automobile Proving Ground Area Network(APGAN)
自動車走行試験場における通信エリアネットワークのプロファイル仕様(中国提案)
NP提案に向けて準備中.
7) PWI 24979 High-precision Time Synchronization Protocol for Fibre Channel Network(HTS-FC)
ファイバーチャネルネットワーク用高精度時間同期プロトコル(中国提案)
当初のIS提案から,光ネットワークにおける高精度時刻同期プロトコルに関する規格やユースケース等を記述するTRの開発が提案された.
8) PWI 24980 RIS assisted Wireless Communication(RIS-WCom)
RIS(Reconfigurable Intelligent Surface)支援による無線通信(中国提案)
9) PWI 24981 UAS protection against stealthy cyber attacks(UPSCA)
ステルスサイバー攻撃に対するUAS(無人航空機)保護(中国提案)
10) PWI 25505 Charging Communication Interface Protocols on Autonomous Moving Machines(CCIP-AMM)
24時間稼働する自律移動マシンの給電通信インタフェースプロトコル(制御プロトコル,同期プロトコル)(韓国提案)
11) PWI 25506 Communication Security Requirements for Drone Formation Flight Show(CSR-DFFS)
ドローン編隊フライトショーにおけるドローン及び地上制御局間の通信セキュリティ
本規格案のSC 6での開発は,関係する組織(ISO/TC 20/SC 16及びJTC 1/AG 19)において了承済み.
12) PWI 25507 Modulation and Coding Schemes for Power Line Communications(MCS-PLC)
PLCにおける新規の変調及び符号方式(中国提案)
13) PWI 25512 Smart Grid Stealthy Defense(SGSD)
スマートグリッド通信におけるステルス攻撃に対するステルス防御のセキュリティ機能(中国提案)
IEC/TC 57及びCIGRE(国際大電力システム会議)とのリエゾン締結を日本から提案し合意済み.
14) PWI 25513 Guidelines for Designing Communication Security Protocols in the Context of Migration to Post-quantum Cryptography(GD-CSP-PQC)
ポスト量子暗号(PQC)への移行観点での通信セキュリティプロトコル設計ガイドライン(中国提案)
j) WG 7におけるプロジェクトの状況
1) PWI 11935 Artificial Intelligence Enabled Networking(AIEN)
人工知能有効化ネットワーキング(中国提案)
3年経過のため中止.
2) PWI 18673 Communication protocols in low earth orbit inter-satellite networks
低軌道衛星間ネットワークの通信プロトコル(中国提案)
3年経過のため中止.
3) PWI 18700 Blockchain-based Satellite Resource Allocation (BSRA)
ブロックチェーンベースの衛星リソース割当て(中国提案)
3年経過のため中止.
4) PWI 24988 High-throughput communication protocol for federated learning (HTC-FL)
連携学習向け高スループット通信プロトコル(トランスポート層及びネットワーク層)(中国提案)
5) PWI 24989 Efficient loss recovery for remote direct memory access transmission (LR-RDMA)
リモートダイレクトメモリアクセス送信の効率的損失回復(中国提案)
6) PWI 25516 Blockchain-enabled future network (BEFN)
フューチャーネットワークにおけるブロックチェーン利用(中国提案)
7) PWI 25517 Network Slicing Technology over WLAN (NST)
WLAN上のネットワークスライシング(中国提案)
8) PWI 25519 Intelligent allocation mechanism for transmission resource adapted to user applications (IAM)
ユーザーアプリケーションに適応した通信リソースのインテリジェント割当て機構(中国提案)
9) PWI 25520 Overall aspects of Future Network 2.0 (FN 2.0)
フューチャーネットワーク強化(中国提案)
k) WG 10におけるプロジェクトの状況
WG 10は,主にITU-T SG17と合同の規格開発を行っている.
1) ISO/IEC 8824シリーズ(ITU-T X.680シリーズ) Abstract Syntax Notation One (ASN.1)
2) ISO/IEC 8825シリーズ(ITU-T X.690シリーズ) ASN.1 encoding rules
3) ISO/IEC 9594シリーズ(ITU-T X.500シリーズ) Open systems interconnection – The Directory
l) 規格投票件数及び制定数
1) 2024年度の投票件数
NP: 2件,CD: 0件,DIS: 10件,FDIS: 10件,SR: 17件,CIB: 13件
2) 2024年度のIS発行数
IS発行 新規: 1件,改訂: 3件,追補: 4件
4. 日本対応/方針
a) SC 6専門委員会では,国際SC 6委員会のすべての投票案件について技術的な記載内容を確認,審議を総合的に判断して,賛成,反対,棄権投票及びコメント送付を実施している.NP及びDIS案件,国際ISO/IEC JTC 1委員会投票案件については,コメント案を含めて,賛成,反対,棄権どの態度をとるべきかを技術委員会へ付議している.
b) 日本主導で進めてきたNFCの規格開発及び保守に関しては,非接触近接通信オブジェクト等の規格を開発しているISO/IEC JTC 1/SC 17(Cards and security devices for personal identification)国内委員会と連携しながら進めている.
c) WG 10におけるITU-T SG17との合同プロジェクトに関しては,総務省によりITU-TのSGに対する活動が付託されているTTCと連携しながら進めている.
d) 近年,SC 6における新規提案については,NP投票でエキスパート数が不足のため承認されずPWIとして検討が継続されているプロジェクトが多く存在している.新規提案の多くは,他の標準化組織の技術の利用及び改善に関する内容であり,SC 6単独での審議が困難であるため,関連する組織と連携して標準化を進めるべきであることを提言している.ISO/IEC 11913のNP投票においてはIEC/TC 124(Wearable electronic devices and technologies)国内委員会と連携して投票コメントを提出した.今後も必要に応じて関係する他の国内委員会との連携していく.