SC 6 専門委員会 (通信とシステム間の情報交換)
第1 種専門委員会
SC 6 専門委員会 (通信とシステム間の情報交換/Telecommunications and Information Exchange Between Systems)
<2023年度委員会活動報告>
委員長 照山 勝幸(ソニー株式会社)
1. スコープ
オープンシステム間の情報交換に関する通信分野の標準化を担当している.例えば,物理層,データリンク層,ネットワーク層,トランスポート層,セッション層,プレゼンテーション層及びアプリケーション層のプロトコルやサービス,ディレクトリやASN.1のほか,MFAN,NFC,PLC,Future Networks,OID等がある.
加えて,ISO,IEC,ITU規格との調和及びIEEE,IETF等との実効的な共同作業を行っている.
加えて,ISO,IEC,ITU規格との調和及びIEEE,IETF等との実効的な共同作業を行っている.
2. 参加国
a) 議長:Hyun Kook KAHNG氏(韓国)
b) 幹事国:韓国
c) WG,AG及びコンビーナ:
b) 幹事国:韓国
c) WG,AG及びコンビーナ:
・ WG 1(Physical and data link layers) 中国
・ WG 7(Network, transport and future network) 韓国
・ WG 10(Directory, ASN.1 and Registration) フランス
・ AG 1(Wearable devices) 韓国
・ AG 2(Concepts and terminology) 中国
・ AG 4(MCS innovation) 中国
・ AG 5(Operations) 韓国
・ WG 7(Network, transport and future network) 韓国
・ WG 10(Directory, ASN.1 and Registration) フランス
・ AG 1(Wearable devices) 韓国
・ AG 2(Concepts and terminology) 中国
・ AG 4(MCS innovation) 中国
・ AG 5(Operations) 韓国
d) Pメンバは18カ国,Oメンバは36カ国.主な参加国は,韓国,中国,アメリカ,オーストリア,イギリス,スイス及び日本である.
e) 日本は,次の規格のプロジェクトエディタを務めている.
・ ISO/IEC 18092 – Near Field Communication Interface and Protocol 1 (NFCIP-1)
・ ISO/IEC 21481 – Near Field Communication Interface and Protocol 2 (NFCIP-2)
・ ISO/IEC 22536 – Near Field Communication Interface and Protocol 1 (NFCIP-1) – RF interface test methods
・ ISO/IEC 23917 – Near Field Communication Interface and Protocol 1 (NFCIP-1) - Protocol test methods
・ ISO/IEC 17982 – Close Capacitive Coupling Communication Physical Layer (CCCC PHY)
・ ISO/IEC TR 22512 – Guidelines for the implementation of ISO/IEC 17982:2012
・ ISO/IEC 21481 – Near Field Communication Interface and Protocol 2 (NFCIP-2)
・ ISO/IEC 22536 – Near Field Communication Interface and Protocol 1 (NFCIP-1) – RF interface test methods
・ ISO/IEC 23917 – Near Field Communication Interface and Protocol 1 (NFCIP-1) - Protocol test methods
・ ISO/IEC 17982 – Close Capacitive Coupling Communication Physical Layer (CCCC PHY)
・ ISO/IEC TR 22512 – Guidelines for the implementation of ISO/IEC 17982:2012
3.トピックス
a) 南寧総会及びWG会議:2023年12月10日~12月14日開催.韓国,中国,スウェーデン,デンマーク及び日本が対面で出席.オーストリア,カナダ,スイス,オランダ,イギリス,アメリカがリモートで出席.
b) AG 1(Wearable devices)において検討されていた,韓国提案のやE-textilesとの通信仕様(ISO/IEC 11913 Wearable Robot Area Network)の開発がPWIを終えて,NP投票に進行した.
c) AG 2(Concepts and terminology)において,SC 6の規格群が使用する用語を一覧としてまとめたStanding Document作成を継続している.
d) AG 3(Systematic Review process)では,多数の古い規格に対するSR投票の扱いを検討していたが,規格廃止を行う場合は上位組織のJTC 1において廃止承認のための最終投票を行う,という固有の手続きがSC 6からJTC 1へ提案され承認された.結果,AG 3のミッションが達成され解散となった.
e) AG 4(MCS Innovation)は,2022年07月のSC 6総会にて設置が承認され,香港と中国の専門家の提案により,IEEE 802.11や3GPP等で採用されている変調方式OFDM(直交周波数分割多重方式)の基本的なパラメータであるMCS(変調及び符号化スキーム)の問題点を解決し,統一的な改善を検討することを目的と活動を継続している.MCSの改善が様々な無線通信に適用できるとして,UASの関連組織JTC 1/AG 19(Coordination with ISO TC 20/SC 16 on Unmanned Aircraft Systems),ISO/TC 20/SC 16(Unmanned Aircraft Systems)や量子情報技術関連組織JTC 1/WG 14(Quantum information technology)への働きかけが行われている.日本は,AG 4のメンバが中国に偏っているため,参加を表明していない.
f) AG 5(Operations)は,2022年11月のJTC 1総会で設置されたJTC 1/AG 21(JTC1 strategic direction)において,新技術に取り組むためのJTC 1の強化とSC 6を含む組織変更可能性の議論を鑑みて発せられたSC 6議長によるコメントと中国の提案に基づき,SC 6での関連する運営上の課題について検討するべく2023年12月の総会で設置が承認された.日本は,運営上の具体的な解決案を出せる状況にないため,参加を表明していない.
g) ISO/IEEE PSDO(Partnership standardization disclosure organization)協定の手続きに基づくIEEE規格のIS化において,特許使用許諾の拒絶(Negative LoA(Letter of assurance))の表明がある規格のIS化への反対がSC 6からISO中央事務局に表明された後,ISO中央事務局とIEEEとの間で解決に向けた議論を継続している.2023年03月のSC 6総会ではその議論に関する状況報告及びPSDO協定の改訂検討の依頼が承認された結果,2023年12月のSC 6総会ではISO中央事務局から状況報告がなされたが,IS化及びPSDO協定の改訂について進展は見られなかった.
h) 次の新規リエゾン設置要求が承認された.
1) ISO/TC 307(Blockchain and distributed ledger technologies)へのリエゾン設置が承認された.
i) WG 1におけるNFC関連プロジェクト
1) ISO/IEC 18092 NFCIP-1
j) WG 1における,その他のプロジェクトの状況
1) PWI 13925 PHY specification based on licensed narrowband in field area network for Smart Grid
k) WG 7におけるプロジェクトの状況
1) PWI 11935 Artificial Intelligence Enabled Networking(AIEN)
l) WG 10におけるプロジェクトの状況
WG 10は、主にITU-T SG17と合同の規格開発を行っている。
1) ISO/IEC 8824シリーズ(ITU-T X.680シリーズ) Abstract Syntax Notation One (ASN.1)
2) ISO/IEC 8825シリーズ(ITU-T X.690シリーズ) ASN.1 encoding rules
3) ISO/IEC 9594シリーズ(ITU-T X.500シリーズ) Open systems interconnection – The Directory
m) 規格投票件数及び制定数
1) 2023年度の投票件数
b) AG 1(Wearable devices)において検討されていた,韓国提案のやE-textilesとの通信仕様(ISO/IEC 11913 Wearable Robot Area Network)の開発がPWIを終えて,NP投票に進行した.
c) AG 2(Concepts and terminology)において,SC 6の規格群が使用する用語を一覧としてまとめたStanding Document作成を継続している.
d) AG 3(Systematic Review process)では,多数の古い規格に対するSR投票の扱いを検討していたが,規格廃止を行う場合は上位組織のJTC 1において廃止承認のための最終投票を行う,という固有の手続きがSC 6からJTC 1へ提案され承認された.結果,AG 3のミッションが達成され解散となった.
e) AG 4(MCS Innovation)は,2022年07月のSC 6総会にて設置が承認され,香港と中国の専門家の提案により,IEEE 802.11や3GPP等で採用されている変調方式OFDM(直交周波数分割多重方式)の基本的なパラメータであるMCS(変調及び符号化スキーム)の問題点を解決し,統一的な改善を検討することを目的と活動を継続している.MCSの改善が様々な無線通信に適用できるとして,UASの関連組織JTC 1/AG 19(Coordination with ISO TC 20/SC 16 on Unmanned Aircraft Systems),ISO/TC 20/SC 16(Unmanned Aircraft Systems)や量子情報技術関連組織JTC 1/WG 14(Quantum information technology)への働きかけが行われている.日本は,AG 4のメンバが中国に偏っているため,参加を表明していない.
f) AG 5(Operations)は,2022年11月のJTC 1総会で設置されたJTC 1/AG 21(JTC1 strategic direction)において,新技術に取り組むためのJTC 1の強化とSC 6を含む組織変更可能性の議論を鑑みて発せられたSC 6議長によるコメントと中国の提案に基づき,SC 6での関連する運営上の課題について検討するべく2023年12月の総会で設置が承認された.日本は,運営上の具体的な解決案を出せる状況にないため,参加を表明していない.
g) ISO/IEEE PSDO(Partnership standardization disclosure organization)協定の手続きに基づくIEEE規格のIS化において,特許使用許諾の拒絶(Negative LoA(Letter of assurance))の表明がある規格のIS化への反対がSC 6からISO中央事務局に表明された後,ISO中央事務局とIEEEとの間で解決に向けた議論を継続している.2023年03月のSC 6総会ではその議論に関する状況報告及びPSDO協定の改訂検討の依頼が承認された結果,2023年12月のSC 6総会ではISO中央事務局から状況報告がなされたが,IS化及びPSDO協定の改訂について進展は見られなかった.
h) 次の新規リエゾン設置要求が承認された.
1) ISO/TC 307(Blockchain and distributed ledger technologies)へのリエゾン設置が承認された.
i) WG 1におけるNFC関連プロジェクト
1) ISO/IEC 18092 NFCIP-1
NFC(Near Field Communication)業界標準との調和を目的とした改訂プロジェクト,FDISステージを経て2023年12月に発行済み.
2) ISO/IEC 23917 NFCIP-1 Protocol test methods
上記ISO/IEC 18092の変更に伴う改訂プロジェクト,FDISステージを経て2023年12月に発行済み.
3) ISO/IEC 19369 NFCIP-2 Test methods
ベース規格であるISO/IEC 21481(NFCIP-2)の変更に伴う改訂プロジェクト,DISステージにてコメント解決がなされ,FDISステージへ進行.
4) ISO/IEC 22536 NFCIP-1 RF interface test methods
ベース規格ISO/IEC 18092(NFCIP-1)の変更に伴う改訂プロジェクト,日本から提案がなされ,改訂作業開始が承認されている.
j) WG 1における,その他のプロジェクトの状況
1) PWI 13925 PHY specification based on licensed narrowband in field area network for Smart Grid
Smart Grid向けフィールドエリアネットワークにおける認可狭帯域通信のPHY仕様(韓国提案)
2) PWI 13974 Control Protocol for RF Directional Signal Transmission(RFDST)
RF指向性信号送信の制御プロトコル(韓国提案)
3) PWI 11912 Deterministic wireless industrial network(DWIN)
決定論的無線産業ネットワーク(韓国提案)
4) PWI 18987 Conductive fabric area network(CFAN)
導電性ファブリックエリアネットワーク(韓国提案)
5) PWI 21284 Automobile Proving Ground Area Network(APGAN)
自動車走行試験場におけるエリアネットワーク(中国提案)
6) PWI 24979 High-precision Time Synchronization Protocol for Fibre Channel Network(HTS-FC)
ファイバーチャネルネットワーク用高精度時間同期プロトコル(中国提案)
7) PWI 24980 RIS assisted Wireless Communication(RIS-WCom)
RIS(Reconfigurable Intelligent Surface)支援による無線通信(中国提案)
8) PWI 24981 UAS protection against stealthy cyber attacks(UPSCA)
ステルスサイバー攻撃に対するUAS(無人航空機)保護(中国提案)
9) NP 11913 Wearable Suite Area Network(WSAN)
ウェアラブルセンサー及びE-textiles間のエリアネットワーク(韓国提案)
k) WG 7におけるプロジェクトの状況
1) PWI 11935 Artificial Intelligence Enabled Networking(AIEN)
人工知能有効化ネットワーキング(中国提案)
2) PWI 11914 Blockchain-based Satellite Resource Allocation(BSRA)
ブロックチェーンベースの衛星リソース割当(中国提案)
3) PWI 18673 Communication protocols in low earth orbit inter-satellite networks
低軌道衛星間ネットワークの通信プロトコル(中国提案)
l) WG 10におけるプロジェクトの状況
WG 10は、主にITU-T SG17と合同の規格開発を行っている。
1) ISO/IEC 8824シリーズ(ITU-T X.680シリーズ) Abstract Syntax Notation One (ASN.1)
2) ISO/IEC 8825シリーズ(ITU-T X.690シリーズ) ASN.1 encoding rules
3) ISO/IEC 9594シリーズ(ITU-T X.500シリーズ) Open systems interconnection – The Directory
m) 規格投票件数及び制定数
1) 2023年度の投票件数
NP: 2件,CD: 0件,DIS: 1件,FDIS: 4件,SR: 26件,CIB: 9件
2) 2023年度のIS発行数
IS発行 新規: 11件,改訂: 3件,追補: 1件
4. 日本対応/方針
a) SC 6専門委員会では,国際SC 6委員会のすべての投票案件について技術的な記載内容を確認,審議を総合的に判断して,賛成,反対,棄権投票及びコメント送付を実施している.NP及びDIS案件,国際ISO/IEC JTC 1委員会投票案件については,コメント案を含めて,賛成,反対,棄権どの態度をとるべきかを技術委員会へ付議している.
b) NFCの規格開発及びメンテナンスに関しては,日本主導で,非接触近接通信オブジェクト等の規格を開発しているISO/IEC JTC 1/SC 17(Cards and security devices for personal identification)国内委員会と連携しながら進めている.
c) 近年,SC 6における新規提案については,NP投票でエキスパート数が不足のため承認されずPWIとして検討が継続されているプロジェクトが多く存在している.新規提案の多くは,他の標準化組織の技術の利用及び改善に関する内容であり,SC 6単独での審議が困難であるため,関連する組織と連携して標準化を進めるべきであることを提言している.ISO/IEC 11913のNP投票においてはIEC/TC 124(Wearable electronic devices and technologies)国内委員会と連携して投票コメントを提出した.今後も必要に応じて関係する他の国内委員会との連携していく.
5. その他
SC 6専門委員会では,電子メール及びWeb会議ツール,ファイル共有システムなどを駆使して案件審議の効率化を図り国際案件審議に必要な意見交換を実施している.