SC 38 専門委員会 (クラウドコンピューティングおよび分散プラットフォーム)

第1 種専門委員会

■ SC 38 専門委員会(クラウドコンピューティング及び分散プラットフォーム/Cloud computing and distributed platforms)

委員長 山下 経 / 幹事 鈴木 俊宏(日本オラクル株式会社)

1. スコープ

クラウドコンピューティングと分散型プラットフォームの分野での国際標準化活動をおこなう.
  • 基本的なコンセプトとテクノロジー
  • 運用上の課題
  • クラウドコンピューティングシステムと他の分散システムとの相互作用
更には JTC 1,IEC,ISO,及び該当分野の規格を開発している他団体に対するガイダンスの提供をおこなう.

2. 参加国

P メンバ(28 ヶ国)オーストラリア,ベルギー,ブラジル,カナダ,中国,デンマーク,フィンランド,フランス,ドイツ,インド,アイルランド,イスラエル,イタリア,日本,カザフスタン,韓国,ルクセンブルグ,オランダ,パナマ,ポーランド,ロシア,シンガポール,スロバキア,スペイン,スウェーデン,スイス,英国,米国

O メンバ(21 ヶ国)アルゼンチン,オーストリア,ボスニア・ヘルツェゴビナ,チェコ共和国,香港,ハンガリー,インドネシア,ケニア,メキシコ,ノルウェー,パキスタン,フィリピン,ポルトガル,ルーメニア,セルビア,南アフリカ,トリニダード・トバゴ,トルコ,ウクライナ,ウルグアイ,ザンビア

幹事国米国(ANSI)

内部リエゾン(to SC 38) JTC 1, SC 6, SC 7, SC 27, SC 32, SC 39, SC 40, SC 41, SC 42, ISO/TC 46/SC 11, ISO/TC 68, ISO/TC 307 (from SC 38) JTC 1, SC 6, SC 7, SC 27, SC 32, SC 37, SC 40, SC 42

外部リエゾン(Category A) Cloud Security Alliance, Ecma International, IEEE, INLAC, ITU, OASIS, OGF, SNIA (Category C) European Commission, EuroCloud, StandICT.eu, TM Forum

日本からのエディタ引受状況:
なし

日本からのリエゾン引受状況:
SC 38 から SC 42:鈴木 俊宏(SC 42 リエゾン調整グループ主査含む)
SC 38 から JTC 1/WG 13:鈴木 俊宏(WG 13 リエゾン調整グループ主査含む)
SC 38 から SC 32/WG 6:鈴木 俊宏
ISO/TC 307 から SC 38:鈴木 俊宏

3. トピックス

 SC 38 では年に 2 回の総会を開催している.さらに AG/WG 共に ISO zoom を利用したプロジェクト毎のリモート会議を開催し国際規格開発を中心とした議論がおこなわれている.CRM も対面会議まで待つという形式は取らず電話会議を何度となく実施しコンセンサスを形成している.特に 2020 年 3 月に開催した SC 38 総会の途中からリモート会議のみとなり,年間 100 回を超すリモート会議が開催された.
 上述の通り SC 38 では日頃 zoom を多用しており,リモート会議のノウハウが蓄積されているためか,総会開催期間も対面会議と変わらない日程で,更には総会開催期間中に設置された複数のアドホックもリモートで実施するなど,何ら違和感なく成功裏に総会を終えることが出来た.
 SC 38 WG に参加するエキスパートは業界標準化団体出身者が大半を占めるため,現実的な意見が多く,時には激しいやり取りが繰り広げられている.
 今年は SC 38 Chair の要請で新たに Chair’s Advisory Group (CAG) が設置された.ISO,IEC,JTC1 または JTC1/SC との諸問題や,SC 38/WG の作業範囲を超える懸念から生じる戦術的な問題に対処することとした.また SC 38 のプロジェクト全体の戦略を検討する Advisory Group on Long Term Strategy (AG 5)が設置され恒久的な組織として活動することになった.この AG 5 で検討される項目としては各プロジェクトのメンテナンス方針や SC 38 全体の戦略はもちろん,地域,国,組織レベルにおけるデジタル主権の枠組み,クラウドコンピューティングを含んだ分散コンピューティングへのロードマップ,重要インフラストラクチャにおける事業継続計画(Business Contiguity Plan)や trustworthiness の整理,進化を続けるデジタルプラットフォームへの対応などが候補に挙がっている.
 SC 38 は 2011 年に ITU-T SG 13 と Collaborative Mode (JTC 1 Standing Document (SD) 3 on Guide for ITU-T and JTC 1 Cooperation 参照)を結成し ISO/IEC 17788:2014 (ITU-T Y.3500)と ISO/IEC 17789:2014 (ITU-T Y.3502)を開発した.それ以降,具体的なメンテナンス作業がないまま,双方とも様々な国際規格を独自に開発してきた.SC 38 では独自に進化した国際規格の乖離が大きいと判断し,ITU-T と 177881/17789 のメンテナンスを実施せずに ISO/IEC 22123 シリーズを中心にした新しい規格体系を開発することになった.

4. 日本対応/方針

 SC 38 では単なる技術や機能の標準化から政策や施策に影響を及ぼす国際規格開発へと軸足が移っているため,日本の法令等による遵守事項が国際規格と齟齬が起きないよう SC 38 に要請している.そのため,各プロジェクトに対し積極的に会議に参加し,寄書提出やコメント発言など,積極的な働きかけをおこなっている.

5. その他

 SC 38 専門委員会では例年通りリモートによる毎月 1 回程度の会合を持ち,規格の開発状況の確認と意見交換,投票を伴う審議をおこなっている.必要に応じ非定期にアドホックを開催している.
 また,SC 38 で開発された国際規格の国内での利活用を促進するため,政府各省庁が実施するパブリックコメントに対して SC 38 専門委員会としてコメントを提出するなど,積極的な働きかけをおこなっている.
 SC 38 専門委員会は委員各位の参加効率を最大にするために小委員会を持たない.
 コミュニケーションツールとしては情報規格調査会が提供するメーリングリストに加え,国内会議は幹事会社が提供する zoom リモート会議アカウント,国際会議中の共有や意見交換は slack を有効活用している.