SC 35 専門委員会 (ユーザインタフェース)

委員長　関 喜一（産業技術総合研究所）

　（特別な支援を必要とする人々を含む）ユーザと情報技術の環境での入出力装置を含んだシステムとの間のユーザシステムインタフェース分野において，JTC 1の文化及び言語適合性の要請に合わせた国際標準化．次の項目を含む：

•  ユーザインタフェースアクセシビリティ
•  文化及び言語適合性とアクセシビリティ
•  ユーザインタフェースのオブジェクト，行為，及び属性
•  音声，視覚，動作及びジェスチャなどによるシステム制御の規則
•  視覚，聴覚，触覚，及びその他の感覚におけるシステム，装置，アプリケーションの制御，及びナビゲーションのための方法，及び技術
•  ユーザインタフェースのシンボル，機能性，及びインタラクション
•  モバイル装置，携帯装置，及び遠隔インタラクションのユーザインタフェース

　議長・幹事国はフランスが務め，2022年3月末現在，Pメンバ19カ国，Oメンバ18カ国で構成されている．2022年1月の総会で，議長がDr. Khalid ChoukriからDr. Alain Couillaultに交代した．

　国際会議は通常年2回開催しているが，2021年度はCOVID-19感染拡大防止のため，2回ともバーチャル会議となった．

a） ISO/IEC 9995シリーズ

　キーボードに関する規格．WG 1で審議中．12部構成．このうち，第3部（英数字），第7部（機能記号），第10部（非グリフ記号），及び第11部（デッドキー）が，改訂のためのCD投票について今後の開発ステップを決定した．

b） ISO/IEC 20071シリーズ

情報機器のUI構成要素アクセシビリティに関する規格．WG 6で審議中．
2022年3月末現在8部構成．うち第5部（アクセシビリティ設定，2009年に発行されたISO/IEC 24786の改訂版）と第23部（字幕）は日本提案である．構成部数は今後増える予定である．
2022年3月末現在，第5部がDIS投票完了しIS発行予定．第23部がIS発行後に改訂作業中．第24部（手話）がNP準備中．
また，20071シリーズの各パートの理解をしやすくするために，シリーズ共通の構成を検討中．

c） ISO/IEC 30113シリーズ

情報機器のジェスチャコマンドに関する規格．WG 9で審議中．

2022年3月末現在6部構成．構成部数は今後増える予定である．全て韓国提案．第 62部（スクリーンリーダ用マルチポイントジェスチャ）がNP準備中．

d） ISO/IEC 17549シリーズ

　情報機器のメニューナビゲーションに関する規格．WG 4で審議中．
　本件は，日本で開発された4方向キーを用いたメニューナビゲーションの標準化案件であり，日本国内で数年間の調査研究ののち，日本から提案した案件である．2007年に日本主導で本件のためのOWGをSC 35内に設立して準備を行った後に提案している．各国からの関心も高く，本件は，国際の審議において3部構成とすることが決まり，第1部（総則）と第3部（1方向キーナビゲーション）はフランスがエディタ，韓国が副エディタを務める．2020年に発行された第2部（4方向キーナビゲーション）は日本がエディタを引き受けた．
　2022年3月末現在，第1部がDIS採択されIS発行準備中，第3部が2nd CD終了しDIS投票準備中．

e） ISO/IEC 29138シリーズ

　2004年から2014年まで活動していたJTC 1/SWG-A（アクセシビリティ）の成果であるアクセシビリティに関する技術報告であり，3部で構成される．SWG-A解散後にSC 35がこのメンテナンスを引き継いだ．WG 6で審議中．
　2022年3月末現在，第3部（ユーザニーズマッピング）がDIS投票終了しIS発行準備中．

f） ISO/IEC 30150シリーズ

　感情情報処理ユーザインタフェースに関する規格．中国からの提案である．2020年からWG 10で審議される．
　2022年3月末現在，第1部（モデル）がFDIS準備中．第2部（特性）がDTR採択，第11部（表現）がNP準備中，第31部（注釈）がNP投票不採択となり対応中．

g） ISO/IEC 22121シリーズ

　バーチャルキーボードに関する規格．カナダからの提案である．3部構成．WG 1で審議中．
　2022年3月末現在，第1部（枠組）及び第3部（支援技術）がNP投票中，第2部（タッチUI）が DIS採択．

h） ISO/IEC 23773シリーズ

　自動同時通訳に関する規格．韓国提案．3部構成．WG 5で審議中．
　2022年3月末現在，第1部（総則），第2部（要求事項と機能性記述），及び第3部（アーキテクチ）がCD準備中．

i） ISO/IEC 23859

　読みやすい文章の作成方法に関する規格．スウェーデンとスペインの提案．WG 5で審議中．
　2022年3月末現在，DIS採択．

j） ISO/IEC 24661

　全二重発話に関する規格．中国提案．WG 5で審議中．
　2022年3月末現在，DIS準備中．

k) ISO/IEC PWI 7818

　パーソナル移動サービスに用いる機器の音声命令に関する規格．日中韓の共同提案で，韓国が主導．
　日本提案で国際標準化したISO/IEC 30122シリーズの応用例として日本もエディタを引き受けている．
　2022年3月末現在，NP投票準備中．

　来年度以降は，新たにサードワークプレース（職場でも自宅でもない第3の仕事場）に関する標準化を日本主導で進めていく予定．
　2022年3月末で，SC 35専門委員長を関喜一氏から大山潤爾氏に交代し，関氏は幹事に就任した．また今後，若手の新メンバ数名をSC35専門委員会に迎える予定．
2023年度に，総会を日本で開催する予定．

　COVID-19の感染拡大防止のため，2021年度の各種会議開催も全てオンライン開催となった．2022年度は状況が徐々に改善して行くものと期待しているが，オンラインの作業でもプロジェクトに遅れが出ないように取り組む予定である．