SC 32 専門委員会 (データび交換)
第1 種専門委員会
SC 32 専門委員会(データ管理及び交換/Data Management and Interchange)
<2023年度委員会活動報告>
委員長 土田 正士(東京都立大学)
1. スコープ
SC 32は,情報システムのローカル及び分散環境でのデータ管理のための標準開発,また個々の分野のデータ管理機能を協調させる技術を提供することをスコープとする.現在,開放型電子データ交換を扱う「eビジネス」,メタデータの管理と交換を扱う「メタデータ」,関係データベース言語SQL及びグラフ問合せ言語GQLを扱う「データベース言語」,「データ利用」について作業グループを設置し標準開発を進めている.
2. 参加国
Pメンバー 18ヶ国,Oメンバー 19ヶ国,総会及びWG中間会議の参加国13か国(オーストラリア,カナダ,中国,ドイツ,オランダ,韓国,日本,フィンランド,スウェーデン,イタリア,インド,英国,米国)
議長(Karl Schendel,米国),セクレタリ(Bill Ash,米国)
議長(Karl Schendel,米国),セクレタリ(Bill Ash,米国)
3.トピックス
3.1 メタデータ
a) メタデータモデルフレームワークのパート13 (ISO/IEC 19763-13: Metamodel for form design registration)において DIS および IS の期限が10か月延長された.
b) メタデータレジストリのパート 3 (ISO/IEC 11179-3: Metamodel for registry common facilities)において,構造 化された変換ルールをサポートするための追補作業が開始された.
c) オントロジーを扱う ISO/IEC 21838 シリーズにおいて,Unified Foundation Ontology を規定する新パート 5 (ISO/IEC 21838-5 Unified Foundation Ontology (UFO))の開発が開始された.
3.2 データベース言語 SQL
a) 2023年6月1日付けで発行したISO/IEC 9075シリーズ(SQL:2023)の主要機能である,ISO/IEC 9075-16(Property Graph Query)に準拠する製品がOracle(Oracle 23c)から提供され,またOSS(Open Source Software)のPostgreSQLでは開発中との情報が共有され,いち早く市場投入が図られデータ利用のニーズに対応することができる.
b) Neo4J,Oracle,Tiger Graph,Linked Data Benchmark Council(LDBC)他からエキスパートが参加しており,国際規格となったISO/IEC 9075-16(Property Graph Query)と機能(グラフパターン指定での集合操作,グラフパターン一致)を共有化しつつ,DIS投票中のISO/IEC 39075(GQL)の開発を推進する.リエゾンでもあるLDBCとユースケース,開発状況など将来版に関する議論を行った.その開発項目からスキーマ拡張PG-SchemaをSIGMOD2023に論文を寄稿し,優秀論文賞を受賞したことも報告された.今後ともLDBCとのリエゾンは継続し,GQLで固有にサポートする機能(グラフ操作のためのDML,グラフスキーマでの制約定義など)の開発で協調する.
c) ガイダンスISの19075シリーズについては,リレーショナルモデルからの拡張部分をSQLモデルとして詳解するISO/IEC 19075-10(SQL Model)では,日本からのCDコメントは,前回WG 3会議で審議されたCDコメントも含めてすべて解消された.新たに,ISO/IEC 19075-11(Property Graph Query),ISO/IEC 19075-12(Trigger)が議論され,いずれも2024年2月までに作業文書を開発することとした.
d) SQL統計解析関数の主に検定に関する拡張の議論に加えて,ビッグデータ及びAIに関連したデータ分析が実践され始めており,それらのニーズに対応するためにSQL及びGQLで関数ライブラリを規定するISO/IEC PWI 29075(Function Libraries for advanced analytics in data management)が議論され,2023年9月までに作業文書を開発することとした.
b) Neo4J,Oracle,Tiger Graph,Linked Data Benchmark Council(LDBC)他からエキスパートが参加しており,国際規格となったISO/IEC 9075-16(Property Graph Query)と機能(グラフパターン指定での集合操作,グラフパターン一致)を共有化しつつ,DIS投票中のISO/IEC 39075(GQL)の開発を推進する.リエゾンでもあるLDBCとユースケース,開発状況など将来版に関する議論を行った.その開発項目からスキーマ拡張PG-SchemaをSIGMOD2023に論文を寄稿し,優秀論文賞を受賞したことも報告された.今後ともLDBCとのリエゾンは継続し,GQLで固有にサポートする機能(グラフ操作のためのDML,グラフスキーマでの制約定義など)の開発で協調する.
c) ガイダンスISの19075シリーズについては,リレーショナルモデルからの拡張部分をSQLモデルとして詳解するISO/IEC 19075-10(SQL Model)では,日本からのCDコメントは,前回WG 3会議で審議されたCDコメントも含めてすべて解消された.新たに,ISO/IEC 19075-11(Property Graph Query),ISO/IEC 19075-12(Trigger)が議論され,いずれも2024年2月までに作業文書を開発することとした.
d) SQL統計解析関数の主に検定に関する拡張の議論に加えて,ビッグデータ及びAIに関連したデータ分析が実践され始めており,それらのニーズに対応するためにSQL及びGQLで関数ライブラリを規定するISO/IEC PWI 29075(Function Libraries for advanced analytics in data management)が議論され,2023年9月までに作業文書を開発することとした.
3.3 データ利活用(Data Usage)
a) 2020年10月発足したWG6は,豪主導で2本の規格(a. ISO/IEC 5207 – Terminology and use cases, Project editor: Teresa Anderson (AU); b. ISO/IEC 5212 – Guidance for data usage, Project editor: Alexandra Harrington (AU))を策定した.WG6に登録したエキスパートが約70名で,アクティブに活動しているのは豪州,カナダ,中国など約10名前後であった.
2023年度6月からは6回のWGリモート会合(トータルで61回のWGリモート会合)を行い,標準文書の国際翻訳と投票を行い,最終文書は2024年4月に国際標準として発行された.
2023年度6月からは6回のWGリモート会合(トータルで61回のWGリモート会合)を行い,標準文書の国際翻訳と投票を行い,最終文書は2024年4月に国際標準として発行された.
4. 日本対応/方針
4.1 メタデータ
a) WG2小委員会が廃止され専門委員会にもWG2に関する専門家不在の状態であり,WG2に関しては動向を静観するに留める.
4.2 データベース言語 SQL
a) 米国を中心にProperty Graph機能を提供しているベンダも多く活用事例が増えつつありSQL と併存することでグラフDBMS の市場も立ち上がることが期待されている.益々データ分析への期待が高まっており関係性を探り意思決定に役立てるために迅速に意味付ける技術としてグラフ関連システムに期待が集まっているグラフDBについては特に海外の産業界での適用が着々と進んでいる国内での適用事例は少ないが今後は適用が進むことが期待されており適用動向に注視したい.
4.3 データ利活用(Data Usage)
a) 両文書のCD投票からDIS投票にかけて,日本国内の専門家の意見を収集し反映した。SC32専門委員会委員長及び各委員のご協力に深く感謝申し上げます.
5. その他
a) WG2は小委員会主査が退任したが後任の引受者が得られなかった.幹事及び委員も退任しいずれも後任者不在のため小委員会を廃止した.