SC 24 専門委員会 (コンピュータグラフィクス,画像処理及び環境データ表現)

第1 種専門委員会

SC 24 専門委員会(コンピュータグラフィクス,画像処理及び環境データ表現/Computer graphics, image processing and environmental data representation)

<2021年度委員会活動報告>

 委員長 蔵田 武志(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

1. スコープ

 本委員会に対応する国際組織は,ISO/IEC JTC 1/SC 24であり,担当範囲は,以下に関する情報技術応用システムのための各種インタフェースを標準化することである.
  •  コンピュータグラフィクス
  •  バーチャルリアリティ(VR)
  •  複合現実ならびに拡張現実(MAR: Mixed and Augmented Reality)
  •  画像処理
  •  環境データ表現
  •  情報の表示と対話

ただし,以下の内容は除外されている.
・ マルチメディア/ハイパーメディアの効率的な符号化

2. 参加国

 Pメンバは14か国であるが,毎年のSC 24総会に継続的に出席しているのは,米国,韓国,英国,オーストラリア,日本,中国の6カ国である.ここ数年はフランスからの出席も見受けられる.議長は韓国(ミョン・ワン・リー:2016年に着任),幹事は英国BSIのジーン・ストライドである.

3. トピックス

 SC 24では,これまで,画像フォーマットであるPNG,3DCGを記述するためのマークアップ言語であるVRMLとその後継のX3D,MARの参照モデルなどの規格化が行われてきた.
 
近年,VR/AR (Augmented Reality)/MR (Mixed Reality)など,「〇〇」Realityの総称としての用語である「XR」を目にする機会が増えている.その用法は妥当であり,何かの略ではないという考え方が広まっているが,XRをExtended RealityやCross Realityなどの略であるとする解釈も存在する.例えば,Khronosグループが規格や開発を取りまとめているOpen XRのウェブサイトにおいては,XRをXRとしてしか記載されておらず,何かの略語であるという記載はしていない.一方,国際会議ISMAR 2021においても本会議ではXRをXRとして扱うよう運営委員会で決めたものの,タイトルにExtended Realityが含まれるサテライトワークショップが開催されている.このような状況の中,SC 24のスコープにXRを明示的に記載するかどうか,そのためにMARに関する用語が定義されているISO/IEC 18039にXRの定義を加えるかどうか,加えるとしたらどのように定義するのか,といった議論も進んでいる.
 
別のトピックとしては,急速に露出度の高くなった「メタバース」があげられる.Khronosグループ主導で2022年6月にMetaverse Standards Forumが設立され,多くの標準化団体も参加しているが,ISO/IEC/JTC 1はまだ参加をしていない.SC 24では,その活動や規格に対する産業界側の巻き込み推進が課題となっており,当該フォーラムへの参加検討を含め,メタバース関連の活動を進めることとなっている.

4. 日本対応/方針

 日本主導で策定したビジョンベースの位置合わせ・追跡手法のベンチマークに関する規格(ISO/IEC 18520)が,2019年1月に出版されている.さらに,xDR(歩行者用や車両用の推測航法)に基づいた屋内LTS(測位とトラッキング)システムのベンチマーキングに関する規格提案準備が進められている.
 また,SC 24の特にWG 9/10との関連が深いISO/IEC JTC 1/AG 13(VR/AR/MRベースのICT統合システム)にも参加しており,VR/AR/MRリハビリに関する調査・研究活動報告をAG 13主催のワークショップで行った.その後,具体的な規格提案を行うために,SC 36との合同作業部会としてSC 24/JWG 12(VR/AR/MRに基づくICT統合システム標準)が立ち上がっている.

5. その他

 SC 24では企業の委員が年々減少している.SC 24と関連が深いXRやメタバースといったトピックが国際的に盛り上がっていることもあり,産業界との連携促進が期待される.