SC 2専門委員会 (符号化文字集合)

第1 種専門委員会

SC 2専門委員会 (符号化文字集合/Coded character sets)

<2025年度委員会活動報告>

委員長 田代 秀一(開志専門職大学)

1.スコープ(担当範囲・目的)

SC 2専門委員会は、符号化文字集合の国際標準化を担当するISO/IEC JTC 1/SC 2(以下、SC 2という)に対応する国内組織である。その担当範囲は、符号化文字集合、および文字の並べ順を含む情報交換上必要な表現形式(ただし、音声および画像の符号化を除く)である。これらの規格は、文字を扱うあらゆる情報機器から参照される基盤的な規格であり、文字を扱うことから、技術面だけでなく、文化や言語の側面にも配慮しながら、国際的な調和を図りつつ検討することが不可欠である。

「符号化文字集合」は、文字に番号(符号あるいはコードと呼ばれる)を付与したものの集合のことである。情報システムは、この番号を用いて文字の記録・伝達・処理などを行う。多数の国で独自の国内規格が定められてきた歴史を経て、現在は、世界中で使われている文字を一つにまとめたISO/IEC 10646(国際符号化文字集合、以下、10646規格という)が用いられている。10646規格は、1993年の初版発行以来、年間約5,000文字のペースで文字の追加が行われており、2025年発行の第6版追補2の時点で約15万余の文字が収録されている。

 日本は1997年より一貫してSC 2の国際議長およびコミッティマネージャを務めるなど、高いプレゼンスを確保・維持している。

 10646規格は、SC 2とUnicodeコンソーシアムが協調して開発しており、同コンソーシアムから発行されるUnicode Standardと同期した内容となっている。


役職引き受け状況
SC 2議長 武智秀(NHK財団)、コミッティマネージャ 長澤 有由子(ITSCJ)、AHG 1コンビーナ 田代秀一(開志専門職大学)

2.国内活動内容

(1)開催状況

2025年度(2025年4月~2026年3月)は、SC 2専門委員会を10回開催した。このうち2回は対面+一部オンライン、その他はオンラインでの開催であった。

(2)主な審議事項

  • デジタル庁が進めている人名用文字提案の検討の状況について、定期的に情報交換を行った。現行の国際規格化の枠組みにそのままでは収まらない文字の存在が明らかとなってきたことを受け、今後の規格化に向けた戦略の検討を開始した。
  • SC 2では、10646規格の一部である文字コード表の更新にMaintenance Agency(以下、MAという)を導入することについて、アドホックグループ(AHG 1)を設けて検討している。国内委員会では、このAHG 1での議論にインプットするため、MAの位置づけ、責任範囲、SC 2メンバー組織の関与のあり方等について議論した。
  • SC 2/WG 2に設けられた漢字専門グループ(Ideographic Research Group、以下、IRGという)で、過去に規格化された漢字の符号化の見直しが検討されている。国内委員会では、その検討状況を分析し、規格の信頼性および安定性の観点を含め対応方針を検討した。
  • その他、Unicodeコンソーシアムから照会を受けた古典的な仮名文字の規格化提案への対応、厚生労働省から相談を受けた医療分野向け特殊文字の規格化などについて検討・審議を行った。
     

3.国際会議へのアウトプット(成果)

  • 日本からSC 2議長、SC 2コミッティマネージャ、AHG 1コンビーナを出し、符号化文字集合に係る国際規格検討の円滑な推進へ貢献した。
  • 2025年6月、SC 2総会とSC 2/WG 2会議をホストし、新潟の朱鷺メッセで開催した。新潟総会には、10カ国(日本、カナダ、中国、チェコ、ドイツ、インド、韓国、ノルウェー、英国、米国)およびリエゾン2団体(Unicodeコンソーシアム、SC 34)から計30名(うち対面参加17名)が参加した。また、デジタル庁担当者とSC 2総会参加メンバーとの間で会合を行い、同庁が進めている戸籍等で必要とされる文字を国際規格へ追加する計画について、関係者間で共有した。
  • 日本からの約3万文字の水平拡張提案 *1)が反映された10646規格第6版追補2が5月に出版された。これにより、日本に関連する約6万の字体情報がすべて同規格に掲載された。
  • IRGに対し、規格の信頼・安定性維持のために一旦規格化された文字のコードを変更してはならない旨の意見を提出し、合意された。
  • MA導入について、MAをISOの下の公的組織として明確に位置づけることや、規格改定プロセスへのSC 2メンバー組織の確実な関与などへの対応案をまとめたポジションペーパをAHG 1へ提出した。これを受け、AHG 1では、MAへ適用する業務定義書(ToR)の暫定版が取りまとめられた。
  • 10646規格の新版が発行されたことに伴い、8つの字体を異体字登録データベース(IVD)へ追加する必要が生じた。このための提案書を作成し、IVD登録機関であるUnicodeコンソーシアムへ登録申請を行った。


*1)漢字については、漢字文化圏各国からの字体を統合し、複数の字体に一つの文字符号を割り当てている。ある符号に統合する字体を追加することを「水平拡張」とよんでいる。

4.課題

  • デジタル庁が国際規格への追加を検討している約1万文字については、今後、提案に向けた作業が本格化する。漢字として規格化提案をする文字についてはIRGでの議論が不可欠であるが、IRGでは日本を含む漢字文化圏から提案される多数の漢字を扱っており、その議論に積極的に参加し、貢献できる人材を確保する必要がある。
  • AHG 1で議論中のMAについては、各国が納得できるToRを取りまとめるべく、検討を継続する必要がある。MAは、ISO/IEC Directives, Part 1, Annex Gに規定された枠組みであり、頻繁に改定される規格の維持管理作業を効率化する効果が期待される一方、SC 2メンバー組織の関与を担保する仕組みを明確にすることが課題である。

5. 次年度の予定(見通し・計画)

① 審議予定の規格案(日本が参加するもの)
 ・ISO/IEC PWI 26952 (NWIPの承認を目指す)

② 国際会議への参加予定
 ・SC24プレナリー(欧州、2027年7月頃)

③ 委員会としての重点事項
 ・新委員の参画募集