JTC 1サブグループ対応小委員会

第1 種専門委員会

JTC 1サブグループ対応小委員会

<2023年度委員会活動報告>

委員長 関 喜一(産業技術総合研究所)

1. スコープ

2018年に,JTC 1 Advisory Group (JAG)傘下のグループがJTC 1直下のサブグループとして設置されることとなり,これらのサブグループへ対応するため,2018年度に国内で新たにJTC 1サブグループ対応小委員会を設置した.

これらのサブグループは2018年当時はAG (Advisory Group), SWG (Special Working Group), SG (Study Group), AHG (Ad Hoc Group)に分類されていたが,2019年にSD (Standing Document) 10の廃止に伴ってSG, SWGの呼称は使用しないこととなり,全てAG又はAHGとすることとなった.

AGは,JTC 1直下に配置された,JTC 1国際議長の諮問会議体であり,主なスコープは,業務指針の見直しなど組織運営に関する審議,及び将来の規格開発を視野に入れた技術課題の検討などである.

2024年3月末現在,JTC 1直下のサブグループは次の通りである.



なお,JAGは2019年から総会が年に2回開催されることになったことから活動を休止中である.

2023年度は,次の組織の変更があった.ISO,IEC,及びJTC 1のDirectives Supplementを調和させるAHG 7 (Supplement Alignment)が発足した.会議の開催方法を検討するAG 17 (Meeting)は,ISO/IEC JTF on the New Normalの活動がないためインプットがないことから,設置期間終了を待たずに廃止となった.Meta Reference Architectureの議論を行うAG 8 (Meta Reference Architecture for System Integration)は,最終レポートを提出することなく,コンビナが辞意を表明し,設置期間の終了に伴い廃止となった.SD 15 (Cross-domain Cooperation and Collaboration (including Liaisons) )の改訂について,最終版を承認し,発行されることになったことに伴い,AHG 4 (Collaboration Across Domains)は廃止することになった.SCの継承計画の立て方を検討するAHG 8 (Succession Planning)が発足した.

国内では,AHG 7はディレクティブズ小委員会が担当している.また5つのWGは規格開発を行うため,それぞれ専門の小委員会等で対応している.なおSC 43 (Brain-computer Interfaces)は,本小委員会が担当している.


2. 参加国

JTC 1は,日本を含め41か国のPメンバと61か国のOメンバで構成される(2024年3月現在).JTC 1直下のサブグループのうち本小委員会が対応している各AG・AHGへの参加国・リエゾンの数(またはエキスパート人数)は,以下の通りである.
AG 1:不明
AG 2:124名
AG 14:6名
AG 15:不明
AG 19:62名
AG 20:不明
AG 21:44名
AHG 5:不明
AHG 8:不明

3. トピックス

a) AG 1 Communications

JTC 1の広報活動を行っている.JTC 1 Webサイトの対応,活動報告の外部公開などを担当している.2023年度は,世界標準の日,世界女性デーへの対応も行なった.
 

b) AG 2 JTC 1 Emerging Technology and Innovation (JETI)

新興技術の調査を行っている.2024年3月現在,次の4つのTTR (Technology Trend Report)を開発中.

  • Intelligent Computing
  • Metaverse
  • Unmanned Systems
  • Neuromorphic computing systems

また2024年3月現在,2024年の最優先技術課題を選定中.
 

c) AG 14 Systems Integration Facilitation(SIF)

本小委員会の委員がSystem Integration Entity (SIE: 組織取り纏めに対する責任を持つサブグループ)となるSC, WGの会合にFacilitatorとして参加し,System Integrationを推進している.
 

d) AG 15 Standards and Regulations

規制を作成している団体との情報交換を行っている.2024年3月現在,主に船舶関係の団体との情報交換を行っている.
 

e) AG 19 Coordination with ISO TC 20/SC 16 on UAS

ドローンに関するTTRがAG 2から発行されたことを受け,無人航空機システムの標準を策定しているISO TC 20/SC 16との調整を行うために発足した.2024年3月現在,"Guidelines for Coordination on UAS Standardization Activities"を開発している.
 

f) AG 20 Coordination with ISO/TC 268/SC 1 on Smart Community Infrastructures

Smart Cityの標準化についてISO TC 268/SC 1との調整を行っている.会議は必要に応じて開催することになっており,2024年3月現在は議題は無し.
 

g) AG 21 JTC 1 Strategic Direction

JTC 1の組織などの見直しをするための意見交換を行った.2023年度は,2024年5月のJTC 1 Darwin総会に向けての最終報告書をまとめた.
 

i) AHG 5 JTC 1 Standards Made Freely Available

標準文書等を無料で提供する方法についてISO, IECに情報提供を行っている.2022年度に既に情報提供が実施され,2024年3月現在JTFはFreely Availableとなる基準を更新している.
 

j) SC 43 Brain-computer Interfaces

2023年度は,9月に第3回の総会が中国杭州で開催された.2023年3月末現在,次の4つのプロジェクトを持っている.

  • ISO/IEC 8663 (Vocabulary)
  • ISO/IEC TR 27599 (Use Case)
  • ISO/IEC TS 27571 (Non-invasive data format)
  • ISO/IEC 27572 (Reference Architecture)


中国が議長国・幹事国を引き受けているが,現議長・幹事ともSCの運営に不慣れなため,対応の不備が目立つ.
 

4. 日本対応/方針

2023年度は,本小委員会は計6回の会議を開催し,AG等での審議状況の共有とAG等への対処方法の協議を行った.

2023年度は,JTC 1では5月と11月の2回の総会が開催されたが,これらの総会におけるAG関連の提案について,日本の方針を議論した.

2024年度以降も,2023年度に引き続き,各サブグループの進捗を確認し,日本として必要な対応をしていく予定.

また,SC 43の国内対応委員会として,2023年度は9月に開催されたSC 43天津総会に参加し,運営に関する積極的な意見を行なった.2024年度も審議案件への投票やWGへの参加を行い,引き続きSC 43の活動を注視していく。
 

5. その他

特になし.