JTC 1/WG 14（量子コンピューティング）

主査 本庄 利守 （日本電信電(株)）

  JTC1における量子コンピューティングの標準化に関する中心的な役割を果たすこと．量子コンピューティングの標準化に関して,JTC1内を取りまとめるとともに,他の標準化組織との連携を促進すること．まずは,用語（Terminology and vocabulary）の開発を行い,アーキテクチャ,アルゴリズム,ユースケースなどに活動範囲を広げる.

18カ国（アメリカ,フランス,オーストリア,インド,イギリス,ドイツ,デンマーク,ロシア,ルクセンブルグ,日本,韓国,オランダ,アイルランド,中国,スイス,スペイン,イタリア,オーストラリア）
幹事国：中国
コンビーナ：Hon Yang （中国国家標準化管理委員会/中国）

  JTC1 WG14は,2020年6月のISO/IEC JTC1総会での決議を受けて設立され,Hon Yong氏(中国)がコンビーナ就任して活動が続けられている.WG14小委員会は,日本における対応する組織として2020年10月に設立されている.現在は,TORに従ってQuantum computing –Terminology and vocabularyの開発を中心に,Technical ReportやPWIの議論が行われている.他機関とのリエゾンに関しても積極的に進められている.国際会議に関しては、新しいWGということもあり、3カ月の1回のハイペースで実施されている.現在のWG14での主なトピックは以下の通りである.
a) ISO/IEC CD4879 Quantum computing –Terminology and vocabulary 量子コンピューティングに関する基本的な用語規格の開発である．2022年4月にCD投票が実施され,賛成多数で成立した.ただ,投票時にコメントが多数付いたため,それらの対応を進めている.現在,2023年6月の出版を目指して活動が進められている.
b) Technical Report for Quantum Computing 量子コンピューティングの概要,関連技術,アプリケーション,関連標準化をまとめたTechnical Reportを作成するプロジェクトであり,2021年5月のJTC1総会において正式に承認された.Jingjing Wang氏(中国)がプロジェクトエディタに就任し、執筆活動が進められている. 2024年3月出版を目指して活動が進められている.
c) PWIquantum resource simulation platformとquantum machine learning datasetsの2件に関して,今後のプロジェクト提案に向けて,調査研究が続けられている.

量子コンピューティングは,ビジネス化も進んでいるが,まだ研究段階の技術が多く,用語に対する考え方や認識が確立していないものも多く,エキスパートの間でも認識が異なる．日本としては,間違ったもしくは偏った用語の定義にならないように,専門家の視点からコメントを出し,適切な用語適宜になるように活動している．

　特になし．