JTC 1サブグループ対応

第1 種専門委員会

JTC 1 サブグループ対応小委員会

<2021年度委員会活動報告>

委員長 関 喜一(産業技術総合研究所)

1. スコープ

 2018年に,JTC 1 Advisory Group (JAG)傘下のグループがJTC 1直下のサブグループとして設置されることとなり,これらのサブグループへ対応するため,2018年度に国内で新たにJTC 1サブグループ対応小委員会を設置した.
 これらのサブグループは2018年当時はAG (Advisory Group), SWG (Special Working Group), SG (Study Group), AHG (Ad Hoc Group)に分類されていたが,2019年にSD (Standing Document) 10の廃止に伴ってSG, SWGの呼称は使用しないこととなり,全てAG又はAHGとすることとなった.
 AGは,JTC 1直下に配置された,JTC 1国際議長の諮問会議体であり,主なスコープは,業務指針の見直しなど組織運営に関する審議,及び将来の規格開発を視野に入れた技術課題の検討などである.
 2022年3月末現在,JTC 1直下のサブグループは次の通りである.
グループ 名称
JAG JTC 1 Advisory Group
AG 1 Communications
AG 2 JTC 1 Emerging Technology and Innovation (JETI)
AG 8 Meta Reference Architecture and Reference Architecture for Systems Integration
AG 10 Outreach
AG 14 Systems Integration Facilitation (SIF)
AG 15 Standards & Regulations
AG 17 Meeting guidelines - SD 19
AG 18 Vocabulary
AG 19 Coordination with ISO TC 20/SC 16 on Unmanned Aircraft Systems (UAS)
AHG 4 Collaboration Across Domains
AHG 5 JTC 1 Standards Made Freely Available
WG 11 Smart cities
WG 12 3D Printing and scanning
WG 13 Trustworthiness
WG 14 Quantum Computing
 なお,JAGは2019年から総会が年に2回開催されることになったことから活動を休止中である.
 2021年度は,次の改廃があった.AG 6 Automated, Autonomous and Data Rich Vehiclesがその業務をSC 42に移管して廃止,AG 13 VR/AR/MR based ICT Integration Systemsがその業務をSC 24に移管して廃止,及びAG 16 Brain-computer Interfaceがその業務を新設のSC 43に移管して廃止された. AG 19 Coordination with ISO TC 20/SC 16 on Unmanned Aircraft Systems (UAS)が新たに発足した.AHG Technical Reports and Technical Specificationsは廃止され,AHG 4 Collaboration Across Domains,及びAHG 5 JTC 1 Standards Made Freely Availableが新たに発足した.
 国内では, AG 17,AHG 4はディレクティブズ小委員会,AG 18はVocabulary小委員会がそれぞれ担当している.またWG 11, WG 12, WG 13及びWG 14は規格開発を行うため,それぞれ専門の小委員会等で対応している.

2. 参加国

JTC 1は,日本を含め35か国のPメンバと66か国のOメンバで構成される(2022年3月現在).各AGへの参加国(またはエキスパート人数)は,以下の通りである.
AG 1:13か国,6リエゾン
AG 2:118名
AG 8:15か国,8リエゾン
AG 10:不明
AG 14:7名
AG 15:16か国
AG 19:不明
AHG 5:不明

3. トピックス

a) AG 1 Communications

 JTC 1の広報活動を行っている.JTC 1 Webサイトの対応,技術報告書の外部公開などを担当している.

b) AG 2 JTC 1 Emerging Technology and Innovation (JETI)

 新興技術の調査を行っている.2021年3月現在,次の2つのTTR (Technology Trend Report)を開発中.
  • Digital Manufacturing
  • Intelligent Computing
 また2022年3月現在,2021年の最優先技術課題を選定中.

c) AG 8 Meta Reference Architecture and Reference Architecture for Systems Integration

 Meta Reference Architecture に関する調査を行っている.2022年3月現在,Meta Reference Architecture for Systems Integration Specification (mRA) を作成中.

d) AG 15 Standards and Regulations

 規制を作成している団体との情報交換を行っている.2022年3月現在,主に船舶関係の団体との情報交換を行っている.

e) AG 19 Coordination with ISO TC 20/SC 16 on UAS

 ドローンに関するTTRがAG 2から発行されたことを受け,無人航空機の標準を策定しているISO TC 20/SC 16との調整を行うために発足した.2022年3月現在,AG 19に参加する関係者間の情報交換が行われている.

4. 日本対応/方針

 2021年度は,本小委員会は計8回の会議を開催し,AGでの審議状況の共有とAGへの対処方法の協議を行った.
 2021年度は,JTC 1では5月と11月の2回の総会がオンラインで開催されたが,これらの総会におけるAG関連の提案について,日本の方針を決めた.
 例えば,WG 11 Smart CitiesとWG 12 3D Printing and Scanningの再構築を念頭に,application domainのWGsの再組織化を提案し,その形態の選択肢として,(a) ISO/IECの委員会とのJWG (b) ISO/IECの委員会へのEnhanced Liaison (c) ISO/IECの委員会へのLiaison の3つを総会に提案した.その結果,AHG 4 Collaboration Across Domainsを新設して議論を継続することになった.
また,BCI (Brain-Computer Interface)のSCを新設するという中国の提案に対して,UKと共同で反対した.総会では,イタリアもこれに賛同したが,USを始め多数の国がSC新設を支持し,残念ながら結果としてSC 43を新設することになってしまった.しかし,日本からの提案は,その後,新SC設立の際のルールをあらためて見直すきっかけになった.
 また投票案件2件の審議も行った.
 ISO/IEC NP 8663 Information Technology-Brain-computer Interface-Vocabulary (SC 43に移行予定のAG 16 BCIからの提案)については,AG 16からの報告を待たないと賛否を判断できないなどの理由から,反対投票を実施した.
ISO/IEC NP 9234 Information technology -- Information modelling for VR/AR/MR based education and training systems (SC 24に移行予定のAG 13 VR/AR/MR based ICT Integration Systemsからの提案)については,この作業項目のために新設予定のWGについて,JTC 1直下ではなく既存のSCの傘下に設置することが望ましいとのコメントを付して賛成投票を行った.その結果、SC 24の傘下にJWGが新設されることになった.
 2022年度以降も,2021年度に引き続き,各サブグループの進捗を確認し,日本として必要な対応をしていく予定.

5. その他

  特になし.