IoT相互運用性に関する国際標準化専門委員会

第2種専門委員会

IoT 相互運用性に関する国際標準化専門委員会

委員長 河合 和哉((国研) 産業技術総合研究所)

1. 経緯

Internet of Things(IoT)では,様々なモノ(物)とシステムをインターネットに接続し情報交換する.異なるシステムを相互に接続する複合型システム(System of Systems),異なる機能を有する機器・要素を接続して自動運転などのサービスを提供するコネクテッドカー (Connected car),各種センサーを繋ぐ監視制御システムなど,IoT を活用する社会ではモノとシステム双方の相互運用性(Interoperability)が共通基盤として整備・具備されていることが重要である.
JTC 1/ SC 41 において IoT 及び関連技術の国際標準の開発を行っており,傘下の WG 4 では IoT 相互運用性を実現するために,意味的(Semantic),シンタクティク(Syntactic:情報やデータを記述する言語のフォーマット,構造,文法など),トランスポート(Transport),ポリシー(Policy),振舞(Behavioural)の5つの視点から相互運用性が議論されている.現在,前述の IoT 相互運用性の5つの視点のうち,トランスポートについては中国から提案されて 2020 年 4 月に発行され,意味的については韓国から提案されて開発が進められているところである.
シンタクティク視点で異なる記述言語の情報モデルのメタモデルを用いて,シンタクティク視点のデータ変換ルールの記述方法,フレームワークを規定し,ユースケースを整備することにより,様々な言語によって記述される情報とデータの相互運用を自動化し,既存産業分野のシステムや機器を迅速且つ低コストで IoT に対応させることが可能となる.さらに,日本産業界に対しては,企業間連携を通じた新しいサービスの創出の促進が,一方,各企業においては,IoT に対応するシステムの製造コスト削減と製造プロセス簡略化による省エネ効果が期待できる.また,今後の IoT のグローバル化を踏まえ,IoT 相互運用性を実現するための国際標準化の一翼を日本が先導することにより,我が国の産業競争力の強化とともに,国際的な IoT の相互運用性の向上のため,JTC 1/SC 41 においてシンタクティク視点での IoT 相互運用性に関する国際標準化を推進することを目的に平成 31 年 4 月に本委員会を設置した.

2. 活動内容

令和元年 5 月に開催された SC 41 重慶会合の WG 4 に NP の提案内容の紹介を行い,日本から ISO/IEC 21823-4 として NP 提案を行うことについて合意を得た.
この合意を受けて,本委員会において重慶会合での議論の結果を反映した eForm4 を作成して行った NP 投票の結果,反対国はなく,12 ヶ国の賛成および5ヶ国のエキスパート参加を得て承認基準を満たしてプロジェクトが成立した.
投票直後に行われた令和元年 11 月の SC 41 ロシア会合において NP のコメント解決を行った.日本からエディターとして,本委員会の山下主査を提案して合意されたが,WG 4 では Jaeho LEE(韓国)と Min Wei(中国)を co-editor として追加することが提案され,3 名のエディター体制で規格開発を行うこととなった.このロシア会合の結果を受けて本委員会において WD 開発のため議論を行い,イニシャルWDと概要の資料を作成した.令和 2 年 5 月に Virtual で開催された WG 4 会合にて,概要のプレゼン及びイニシャル WD のレビューを行った.概要では特に意味的視点の相互運用規格(ISO/IEC 21823-3)との差異等について説明を行った.WD には大きな指摘事項は無く,11 月の Virtual 会合までに 3 回のレビュー会議(WG 4 Interim 会議)を行って WD の完成度を高め,次回会合にて CD に進めるとするスケジュールに合意した.しかし,9 月のレビュー会議で CD に進めることが合意されて,予定スケジュールより早く 11 月期限で CD が実施された.CD では 6 ヶ国(CA, DE, FI, SE, KR, JP)から 97 のコメントがあり,令和 3 年 1 月末にコメント解決を行って DIS(CDV)に進めることを合意した.