JIS X 0154 改正原案作成委員会

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第3 種専門委員会

JIS X 0154 改正原案作成委員会

<2024年度委員会活動報告>

委員長 山本 喜一

1. 経緯

1.1 委員会設立の目的
 現行のJIS X 0154:2018 “システム及びソフトウェア技術 — 製品ライフサイクル,利用者及びサービスマネージメントの文書化のためのコンテンツ管理”の改正原案を作成し,タイトルを“システム及びソフトウェア技術 — 製品ライフサイクル及びサービスマネジメントの利用者用情報のためのコンテンツ管理”とすること。

 
1.2 JIS改正に至る経緯
 現行JISの対応国際規格であるISO/IEC/IEEE 26531:2015(以下,旧対応国際規格という。)について2020年のSRの時点で改訂が提案され,JTC 1/SC 7/WG 2において改訂作業が行われ, ISO/IEC/IEEE 26531:2023(以下,新対応国際規格という。)が発行された。最大の変更点は,読者にとって印刷された媒体という認識が強い用語である利用者用文書(user documentation)を,ディジタル化された広い範囲の媒体での提供を意図している利用者用情報(information for users)にするものでISO/IEC/IEEE 265xxシリーズ全体での変更を反映するものであった。さらに,技術進歩に伴う追加,変更及び旧対応国際規格の誤りの修正を行なった。
 旧対応国際規格の改訂については,ISO/IEC JTC 1/SC 7/WG 2国内小委員会が原案作成段階から積極的に参加していたことから,この小委員会メンバーを中心にJIS改正原案作成委員会を構成した。


 1.3 規格内容
 この規格は,ソフトウェアばかりではなくその他の製品及びサービスに対してもライフサイクルを通して適用できる,トピックと呼ぶ小さな単位で情報を管理し,必要に応じて適切なトピックから文書を構成するための構成要素コンテンツ管理システム(CCMS)を利用して,利用者が必要とする利用者用情報を作成するための要求事項を規定している。

 

2. 作業内容

2.1 作業の進め方
 一般社団法人情報処理学会 情報規格調査会において一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会,DITAコンソーシアムジャパンなど国内関連団体からも委員を募り,JIS原案作成委員会を組織した。
旧対応国際規格と新対応国際規格との差分をとり,利用可能な現行JISの文言を活かして対訳原案を委員長が作成し,それに基づいて各委員がメーリングリストを用いてコメントを提出する方式を用いた。また,2024年7月,10月(2回)にZoomによる会議を行い,メールでは議論できなかった点について議論を行い合意を得た。


2.2 作業中問題となった点
a) 従来のJISでは,英語の片仮名表記において音引きを省略するなどの表記法が使われていたが,片仮名表記からできるだけ元の英語が推測できることが望ましいとの意見があり,審議の結果,この規格では,片仮名表記は英語の発音に近い表記とし,長い片仮名表記は半角空白で区切ることにした。


b) 新対応国際規格中に“can”の意味で“may”を用いている箇所が複数あり,それぞれについてプロジェクト エディター及びコンビーナーに対応国際規格の改定の際に修正するとの確認をとり,“can”の意味の訳文とした。


c) 旧規格ではcanの訳語として“…できる”を用いていたが,JIS Z 8301:2019に従った訳語に変更した。


d) この規格は,対応国際規格のIDTとして作成したことから,記載内容についての議論はなかったが,翻訳に関して,審議の結果,次のとおりとした。

  • 対応国際規格で“REgular LAnguage for XML Next Generation”の略語として“RNG”を記載しているが,国内で広く用いられている“RELAX NG”を略語とした。
  •  旧規格で“スキマトロン”と表記していた“Schematron”は,プログラム言語の名称なので英語表記のままとした。
  •  “formatting”の訳語は,文脈に応じて“フォーマッティング”又は“体裁設定”とした。
  •  “web”の訳語として“web page”,“web site”など一般に広く使用されているものは“ウェブページ”,“ウェブサイト”と片仮名表記とし,“web hook”のように技術的内容を示すものは“webフック”のように英字表記とした。
  •  旧規格で “記述的メタデータ”としていた“descriptive metadata”の訳を実務での使用実績に基づき“記述メタデータ”とした。

3. その他

特になし。
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