SC 35 専門委員会 (ユーザインタフェース)

第1 種専門委員会

SC 35 専門委員会(ユーザインタフェース/User Interfaces)

<2024年度委員会活動報告>

委員長 大山 潤爾(産業技術総合研究所)

1. スコープ

特別な支援を必要とする人々を含む)ユーザと情報技術の環境での入出力装置を含んだシステムとの間のユーザーシステムインターフェース分野において,JTC 1の文化及び言語適合性の要請に合わせた国際標準化.次の項目を含む:
  •  ユーザーインターフェースアクセシビリティ
  •  文化及び言語適合性とアクセシビリティ
  •  ユーザーインターフェースのオブジェクト,行為,及び属性
  •  音声,視覚,動作及びジェスチャなどによるシステム制御の規則
  •  視覚,聴覚,触覚,及びその他の感覚におけるシステム,装置,アプリケーションの制御,及びナビゲーションのための方法,及び技術
  •  ユーザーインターフェースのシンボル,機能性,及びインタラクション
  •  モバイル装置,携帯装置,及び遠隔インタラクションのユーザーインターフェース

2. 参加国

議長・幹事国はフランスが務め,2025年3月末現在,Pメンバ19カ国,Oメンバ19カ国で構成されている.2024年は,幹事がMs. Liv LehmannからMr. M Anatole Bouvier d'Yvoireに交代した.


国際会議は通常年2回開催しているが,2024年度は次の2回の会議をFace to Faceで開催した.
2024年8月26日, 30日 カナダ サスカトゥーン市
2025年1月13日, 17日 韓国 ソウル市

SC 35は,2025年3月末現在,傘下に以下の7つのWGをもつ.このうちWG 2とWG 4は日本がコンビナを務める.
WG 1: キーボード並びに入力及びフィードバックに関する方法
WG 2: グラフィカル ユーザーインターフェース及びインタラクション
WG 4: モバイル及びウェアラブルデバイスのユーザーインターフェース
WG 5: 文化及び言語適合性
WG 6: ユーザーインターフェース アクセシビリティ
WG 9: ナチュラル ユーザーインターフェース及びインタラクション
WG 10:感情情報処理コンピュータ ユーザーインターフェース


2023年度は,ISが5件発行された.2025年3月末現在,24件の審議案件があり,そのうち2件は日本がプロジェクトエディタを務めている.そのうち日本がプロジェクトエディタを務めて提案予定の案件は3件である.
 

3. トピックス

a) ISO/IEC 9995シリーズ

キーボードに関する規格.WG 1で審議中.12部構成.このうち,第1部(総則),第2部(英字),第3部(国際),第4部(数字),第10部(非グリフ記号),及び第11部(デッドキー)が,改訂のためのDIS投票採択.第9部(多言語)が,改訂のためDIS投票準備中.第7部(ファンクションキー図記号)がCD協議中.
 


b) ISO/IEC 20071シリーズ

情報機器のUI構成要素アクセシビリティに関する規格.WG 6で審議中.
2025年3月末現在7部構成.このうち,2022年に発行された第5部(アクセシビリティ設定),及び2018年に発行された第23部(字幕)は日本提案である.構成部数は今後増える予定である.
2025年3月末現在,第20部(視聴覚メディア)がFDIS投票中.第24部(手話)がCD協議準備中.第31部(キオスク端末),第40部(AAC)及び第41部(AACデザイン)がCD協議中.


c) ISO/IEC 30113シリーズ

情報機器のジェスチャコマンドに関する規格.WG 9で審議中.
2025年3月末現在7部構成.構成部数は今後増える予定である.全て韓国提案.第4部(全身ジェスチャ)がCD協議中.第 62部(スクリーンリーダ用マルチポイントジェスチャ)がDIS投票中.


d) ISO/IEC 17549シリーズ

情報機器のメニューナビゲーションに関する規格.WG 4で審議中.
本件は,日本で開発された4方向キーを用いたメニューナビゲーションの標準化案件であり,日本国内で数年間の調査研究ののち,日本から提案した案件である.2007年に日本主導で本件のためのOWGをSC 35内に設立して準備を行った後に提案している.各国からの関心も高く,本件は,国際の審議において3部構成とすることが決まり,第1部(総則)と第3部(1方向キーナビゲーション)はフランスがエディタ,韓国が副エディタを務める.2020年に発行された第2部(4方向キーナビゲーション)は日本がエディタを引き受けた.
2023年5月に第3部が発行され,このシリーズは全てIS発行が完了した.現在,第2部の対応JISの改訂作業中.


e) ISO/IEC 29138シリーズ

2004年から2014年まで活動していたJTC 1/SWG-A(アクセシビリティ)の成果であるアクセシビリティに関する技術報告であり,3部で構成されていた.SWG-A解散後にSC 35がこのメンテナンスを引き継いだ.WG 6で審議中.
2025年3月末現在,追加のパートである第4部(ユーザアクセシビリティニーズの適用)がCD協議中.


f) ISO/IEC 30150シリーズ

感情情報処理ユーザーインターフェースに関する規格.中国からの提案である.2020年からWG 10で審議される.2025年3月末現在2部構成.構成部数は今後増える予定である.
2025年3月末現在,第11部(表現)がCD協議中.第20部(車両運転)がISO TC 22(道路車両)/SC 39(人間工学)と調整中.第31部(注釈)がCD協議終了.


g) ISO/IEC 22121シリーズ

バーチャルキーボードに関する規格.カナダからの提案である.3部構成.WG 1で審議中.
2025年3月末現在,第1部(枠組),及び第3部(支援技術)がDIS採択.


h) ISO/IEC 23773シリーズ

自動同時通訳に関する規格.韓国提案.3部構成.WG 5で審議済.
2024年7月に,第1部(総則),第2部(要求事項と機能性記述),及び第3部(アーキテクチャ)がIS発行.


i) ISO/IEC 23859

読みやすい文章の作成方法に関する規格.スウェーデンとスペインの提案.WG 5で審議済.
2024年7月にIS発行.


k) ISO/IEC PWI 7818

パーソナル移動サービスに用いる機器の音声命令に関する規格.日中韓の共同提案で,韓国が主導.
日本提案で国際標準化したISO/IEC 30122シリーズの応用例として日本もエディタを引き受けている.
2025年3月末現在,DIS採択.


l) ISO/IEC 18720

日本が主導で進めているサードワークプレース(職場でも自宅でもない第3の仕事場)の内のサービス付きオフィスの標準化に関連して,そのユーズケースを集めた技術報告である.日本がエディタを務めた.
2024年1月にTRとして発行された.


m) ISO/IEC 20931

日本が主導で進めているサードワークプレースの内のサービス付きオフィスの標準化に関連して,予約検索アプリ等で使用されるアイコンの標準を定める国際標準である.日本がエディタを務める.
2025年3月末現在,DIS採択.


o) ISO/IEC 4944

自然ユーザーインターフェースに関する規格.韓国からの提案である.2021年からWG 9で審議される.
2024年9月にIS発行.


p) ISO/IEC 4933

デバイス間共通入力に関する規格.中国からの提案である.2021年からWG 9で審議される.
2025年3月末現在,DIS投票中.


q) ISO/IEC 24216

日本が主導で進めているメタバースに使用されるアバターに関する規格.2023年度から審議開始.日本がエディタを務める.
2025年3月末現在,第1部(総則)がCD協議中.第2部(アイコン)がNP準備中.


r) ISO/IEC 25719

日本が主導で進めているバーチャルヒューマンに関する規格.2024年度に国際会議で発表.日本がエディタを務める予定.
2025年3月末現在NP準備中.


s) ISO/IEC 25721

日本が主導で進めているプログレッシブインターフェースに関する規格.2024年度に国際会議で発表.日本がエディタを務める予定.
2025年3月末現在NP準備中.
 

4. 日本対応/方針

SC 35専門委員会は,原則毎月1回会議を開催して,投票案件の審議等を行なっている.2025年度も引き続きこの頻度で会議開催を継続する.


委員会メンバーの高齢化により,2024年度末に,幾つかのWGの主査を若手のメンバーに交代した.今後も健全な世代交代を進めていく予定.


2025年度以降は,2024年度に引き続き,メタバースに使用されるアバター,バーチャルヒューマン,及びプログレッシブインターフェースの標準化を日本主導で進めていく予定.
 

5. その他

特に無し.