JTC 1サブグループ対応小委員会

第1 種専門委員会

JTC 1サブグループ対応小委員会

<2024年度委員会活動報告>

委員長 関 喜一(産業技術総合研究所)

1. スコープ

2018年に,JTC 1 Advisory Group (JAG)傘下のグループがJTC 1直下のサブグループとして設置されることとなり,これらのサブグループへ対応するため,2018年度に国内で新たにJTC 1サブグループ対応小委員会を設置した.
これらのサブグループは2018年当時はAG (Advisory Group), SWG (Special Working Group), SG (Study Group), AHG (Ad Hoc Group)に分類されていたが,2019年にSD (Standing Document) 10の廃止に伴ってSG, SWGの呼称は使用しないこととなり,全てAG又はAHGとすることとなった.
AGは,JTC 1直下に配置された,JTC 1国際議長の諮問会議体であり,主なスコープは,業務指針の見直しなど組織運営に関する審議,及び将来の規格開発を視野に入れた技術課題の検討などである.

2025年3月末現在,JTC 1直下のサブグループは次の通りである.

グループ 名称
JAG JTC 1 Advisory Group
AG 1 Communications
AG 2 JTC 1 Emerging Technology and Innovation (JETI)
AG 14 Systems Integration Facilitation(SIF)
AG 15 Standards & Regulations
AG 19 Coordination with ISO TC 20/SC 16 on Unmanned Aircraft Systems (UAS)
AG 20 Coordination with ISO/TC 268/SC 1 on Smart Community Infrastructures
AG 22 Coordination with World Economic Forum
AHG 7 Supplement alignment
AHG 8 Succession planning
JWG 1 Joint ISO/IEC JTC 1 - ISO/TC 268/SC 1 WG - Smart city infrastructure planning
WG 11 Smart cities
WG 12 3D Printing and scanning
WG 13 Trustworthiness
WG 14 Quantum Information Technology
WG 15 Vocabulary
 

なお,JAGは2019年から総会が年に2回開催されることになったことから活動を休止中である.

2024年度は,次の組織の変更があった.
World Economic Forum (WEF)との連携のために,AG 22 (Coordination with the World Economic Forum (WEF))を新設した.AHG 5 (JTC 1 Standards Made Freely Available)は役割を終了し,2024年11月をもって解散した.Consumer privacy の国際標準ISO 31700: Privacy by design for consumer goods and servicesの維持のために,TMBからJTC 1に対し,この案件を扱うSCを新設するよう勧告があった.これを受けてAHG 9 (Shaping the Future of Consumer Protection and Privacy Topics in JTC 1)が発足して,新SCのスコープを検討した.その後,AHG 9の検討結果を受けて,SC 44 (Consumer protection in the field of privacy by design)が発足することとなり,AHG 9は解散した.


国内では,AHG 7はディレクティブズ小委員会が担当している.またJWGと5つのWGは規格開発を行うため,それぞれ専門の小委員会等で対応している.


なおSC 43 (Brain-computer Interfaces)は,参加者が極端に少ないことからSC専門委員会を設置せずに本小委員会が担当している.
 

2. 参加国

JTC 1は,日本を含め45か国のPメンバと60か国のOメンバで構成される(2025年3月現在).JTC 1直下のサブグループのうち本小委員会が対応している各AG・AHGへの参加国・リエゾンの数(またはエキスパート人数)は,以下の通りである.各AG/AHGの人数は実際に参加している大凡のアクティブな参加者を示す.
AG 1:3名
AG 2: 10名
AG 14:4名
AG 15:5名
AG 19: 15名
AG 20:15名
AG 22:5名
AHG 8:15名

3. トピックス

a) AG 1 Communications
JTC 1の広報活動を行っている.JTC 1 Webサイトの管理,活動報告の外部公開などを担当している.2024年は四半期ごとにJTC 1 Newsletterの発行を開始し,また世界標準の日への対応も行なった.JTC 1 Newsletterは機械翻訳され情報規格調査会Webサイトで公開されている.


b) AG 2 JTC 1 Emerging Technology and Innovation (JETI)

 

新興技術の調査を行っている.毎年,国際規格化すべき新興技術課題を提示している.2024年は15の優先新興技術課題を選定した.更にはそれらを紹介すべく2025年1月にJTC 1 Foresight Workshopを実施,AGI (Artificial General Intelligence),DFFT(Data-Free-Flow-with-Trust)/CBDF(Cross Border Data Flow)が紹介された.DFFT/CBDFではデジタル庁から講演があった.
2025年3月現在,次の3つのTTR (Technology Trend Report)を開発中.

  •  Intelligent Uncrewed Systems
  •  CitiVerse
  •  Neuromorphic computing


c) AG 14 Systems Integration Facilitation(SIF)

本小委員会の委員がSystem Integration Entity (SIE: システムインテグレーションにフォーカスした組織)となるSC, WGの会合にFacilitatorとして参加し,System Integrationを推進している.


d) AG 15 Standards and Regulations

法律や規制を発布している組織・団体との情報交換を行うと同時にJTC 1に期待される要因のフィードバックを行っている.2025年3月現在,EUや英国政府との情報交換を目指している.


e) AG 19 Coordination with ISO TC 20/SC 16 on UAS

無人航空機システムの標準を策定しているISO TC 20/SC 16との調整を行うために発足した.2025年3月現在,"Guidelines for Coordination on UAS Standardization Activities"を内部資料として開発している.


f) AG 20 Coordination with ISO/TC 268/SC 1 on Smart Community Infrastructures and IEC SyC Smart Cities

Smart Cityの標準化についてISO TC 268/SC 1とIEC SyC Smart Citiesの調整を行っている.会議は必要に応じて開催することになっている.会議は非定期に開催され,お互いに関連する規格案を共有し意見交換する場として利用されている.


g) AG 22 Coordination with the World Economic Forum (WEF)

World Economic Forum (WEF)との情報交換を行っている.JTC 1が興味を示している項目としてDigital Trustを挙げている.


h) AHG 8 Succession planning

SCやWGの国際役職の健全な継承計画を作成するためのガイダンスを作成中.


i) SC 43 Brain-computer Interfaces

2024年度は,9月に第5回総会がオーストラリア国シドニーで開催された.また第6回総会が韓国城南で開催された.
2025年3月末現在,次の4つのプロジェクトを審議中.

  •  ISO/IEC DIS 8663 (Vocabulary)
  •  ISO/IEC DTR 27599 (Use Case)
  •  ISO/IEC CD TS 27571 (Non-invasive data format)
  •  ISO/IEC CD 27572 (Reference Architecture)

またこの他に,PWIの案件を9件持っている.
 

4. 日本対応/方針

2024年度は,毎月開催される各AGやAHGの国際会議にリモート参加し影響力を高めた.本小委員会は計6回の会議を開催し,AG等での審議状況の共有とAG等への対処方法の協議を行った.


2024年度は,JTC 1では5月と11月の2回の総会が開催されたが,これらの総会におけるAG関連の提案について,日本の方針を議論した.


2025年度以降も,2024年度に引き続き,国際に接客的に参加すると共に各サブグループの進捗を確認し,日本として必要な対応をしていく予定.


また,SC 43の国内対応委員会として,2024年度は9月と3月に開催された総会に参加し,運営に関する積極的な意見を行なった.2025年度も審議案件への投票やWGへの参加を行い,引き続きSC 43の活動を注視していく。

5. その他

特になし.