SC 24 専門委員会 (コンピュータグラフィクス,画像処理及び環境データ表現)

第1 種専門委員会

SC 24 専門委員会(コンピュータグラフィクス,画像処理及び環境データ表現/Computer graphics, image processing and environmental data representation)

 委員長 蔵田 武志(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

1. スコープ

 本委員会に対応する国際組織は,ISO/IEC JTC 1/SC 24 であり,担当範囲は,以下に関する情報技術応用 システムのための各種インタフェースを標準化することである.
  • コンピュータグラフィクス
  • バーチャルリアリティ
  • 複合現実ならびに拡張現実(MAR: Mixed and Augmented Reality)
  • 画像処理
  • 環境データ表現
  • 情報の表示と対話
  • ただし,以下の内容は除外されている.
  • 文字および画像の符号化
  • マルチメディア/ハイパーメディア文書の交換形式の符号化
  • JTC 1 での利用者システムインタフェースおよび文書表現
  • ISO/TC 207 の環境マネージメント
  • ISO/TC 211 の地理情報
  • JTC 1/SC 22 のソフトウェア環境

2. 参加国

 毎年の SC 24 総会に継続的に出席しているのは,米国,韓国,中国,日本,英国,オーストラリアの 6 カ国であるが,ここ数年はフランスからの出席も見受けられる.P メンバとしては他に,フィンランド,カザフスタン,ロシア,スイス,ウクライナが含まれる.議長は韓国(ミョン・ワン・リー:2016 年に着任),幹事は英国 BSI のジーン・ストライドである.

3. トピックス

 SC 24 で目下,アクティブな活動を行っているのは WG 6(拡張現実世界によるプレゼンテーションと交換)と WG 9(拡張現実連続体の概念と参照モデル)である.WG 6 は,Web3D コンソーシアムとタイアップして,各種の規格(VRML,X3D,H-Anim など)の立案・保守を継続的に行っている点が非常にユニークであり,Web3D コンソーシアムが運営している Web ページから,常時 SC 24 関連の ISO 国際標準規格の最新版を確認できる.WG6 の中でも、X3D Ver.4 の言語結合に関しては, C, C++, C#, Python などの言語結合の標準化が予定されている.一方,WG 9 では, MAR のための各情報モデル,VR/MAR における画像ベースのレンダリングのための物体・環境情報モデルなど多くの提案がなされている.ただし,規格利用者側の巻き込みが十分ではないという指摘があり,その改善に努めている.
 WG 10(システム統合のための情報提示と可視化)と WG 11(拡張現実と VR の健康・安全・セキュリティ・ユーザビリティ)が SC 24 に設立された.WG 10 では,まず,スマートシティと VR・情報提示に関する規格提案から,WG 11 では,個人用防護具(PPE)と VR/MAR に関する規格や,VR/MAR での没入の安全性に関する規格の提案から,それぞれ活動を開始している.

4. 日本対応/方針

 2011 年後半に SC 24/WG 9 の JTC 1 会議での正式な成立を機に,2013 年以降,国内 WG 9 小委員会を立ち上げ,現在もっともアクティブに活動を続けている.日本主導で策定したビジョンベースの位置合わせ・追跡手法のベンチマークに関する IS(ISO/IEC 18520)は,2019 年 1 月に出版されている.さらに,xDR(歩行者用や車両用の推測航法)に基づいた屋内 LTS(測位とトラッキング)システムのベンチマーキングに関する規格提案の検討も継続的に進めている.

また,SC 24 の特に WG 9/10 との関連が深い ISO/IEC JTC 1/AG 13(VR/AR/MR ベースの ICT 統合システム)にも参加しており,VR/AR/MR リハビリに関する調査・研究活動報告を AG 13 主催のワークショップで行う予定である.なお,SC 24 全体としては,企業の委員が年々減少しており,新たな委員との入れ替えができないという事例が続いている.

5. その他

 2019 年の SC24 総会は,高松観光コンベンション・ビューローの協力のもと,12 年ぶりに日本がホスト国となり,香川県高松市で開催された.コロナ禍の影響で,それ以来,オンサイトでの総会は開催されておらず,状況が好転することを祈るばかりである.