SC 22 専門委員会 (プログラム言語,その環境及びシステムソフトウェアインタフェース)

第1 種専門委員会

SC 22 専門委員会(プログラム言語,その環境及びシステムソフトウェアインタフェース/Programming languages, their environments, and system software interfaces)

 委員長 石畑 清(明治大学)

1. スコープ

 プログラム言語の規格策定が SC 設立当初からのスコープである.現時点で作業の対象となっているのはFortran,COBOL,Ada,C,Prolog,C++であるが,過去には PL/I,Pascal,APL,BASIC,Lisp なども対象にしていた.SC 22 では,SC 本体で技術的な内容を審議することはなく,言語ごとに設立した WG に作業を委ねている.最近は,SC 22 の外で策定された言語規格を fast track で規格にすることも増えてきた.ECMAScript,C#,Ruby などである.SC 22 の国内委員会では,これらの言語規格も作業対象にする.言語を横断する形の活動として,language vulnerability に関する TR をまとめる作業が WG 23 で行われている.
 1990 年代にスコープの追加が数回にわたって行われた.現在では,プログラム言語以外に,言語間で共通する仕様や複数の言語の間のインタフェース,仕様定義技法なども守備範囲である.Linux の規格化の作業が WG 24 で行われている.

2. 参加国

 P メンバは 24 カ国であるが,積極的に作業に参加している国は少ない.総会に参加したり,規格案にコメントしたりする国は,日本のほかオーストリア,カナダ,中国,デンマーク,韓国,英国,米国などに限られる.フランス,ドイツなども P メンバであるが,貢献は見られない.
 幹事国は米国である.議長は,David Keaton である.
 日本からは,WG の convenor や project editor を何度か出してきた.現在は,WG 4(COBOL を担当)のconvenor を高木渉(日立)が務めている.

3. トピックス

 多くの言語で言語仕様近代化の努力が続けられている.Fortran や COBOL のような古典的な言語も,オブジェクト指向や並列化の機能を取り入れるなどして,近代的な言語に進化してきた.
 2020 年には,C++の規格改訂作業が完了して,新しい IS が出版された.C++を担当する WG 21 は,引き続き 3 年に一度のペースでの規格改訂を目指して,活発な活動を続けている.次期規格に盛り込むべき言語仕様の案を次々に TS として出版するのがこの WG の作業スタイルである.COBOL を担当する WG 4 や Ada を担当する WG 9 でも改訂作業が続いているはずだが,2020 年に成果物が世に出ることはなかった.C のprovenance-aware memory object model に関する TS を作成する作業が開始された.ほかに,言語ごとのvulnerability を記述した TR がいくつか出版された.
 JTC 1 の外で規格化が進められている言語がいくつかある.その多くは,Ecma International で規格化の作業が行われている.毎年のようにこの種の言語規格の審議が行われてきたが,2020 年は具体的な事例がなく,動きの少ない年だったと言える.

4. 日本対応/方針

 日本が主体となって言語の規格を開発した例は少ない.かつての ISLisp,最近の Ruby などは例外で,いずれも日本からの提案に基づいて規格化を完成させた.多くの言語が欧米主導で開発されていることから,日本のSC 22 の活動の中心は,規格案の精密な点検にならざるを得ない.WG 活動に積極的に参加して,規格案を技術的にかつ詳細に検討し,規格の品質向上に貢献できるよう努めている.
 JTC 1 の外で開発されている規格に関しては,fast track 投票が来てから対応するのでは手遅れだと考え,開発の途中段階から作業に関与できる体勢を整えている.Ecma International で開発される言語の多くは,C#, CLI, スクリプト系言語 SG が対応する.